ふるさと納税やインバウンド政策について考えた。万物と同じく功罪両方あるだろうが、プラスの面、特に心理的なプラスの面についてだ。 山口県柳井市の元市長の河内山哲朗氏がこんなことを述べている。 〈日本の地方行政は(場合によっては国政もそうですが…
2023年8月6日放送の『桂文珍の演芸図鑑』で狂言師の野村萬斎氏が面白いことを言っていた。うろ覚えなので間違えていたら直します。 「以前から全国の学校で教室をやっております。 きっかけですか? …ひところ、学校で『キレる』子どもというのが話題になり…
覚え書き。 マンガ編集者の話。 たぶん1980年代後半、朝日新聞夕刊の文化欄の論評でこんなことが書いてあった(と思う)。 日本のマンガは子ども向けだけではなく文学や政治経済、思想、文化などありとあらゆるテーマを幅広く扱うようになった。その背景の一…
景山民夫氏のエッセイに『アディオス・パンテラ・ロッソ』という作品がある(『普通の生活』角川文庫収載)。 景山氏がテレビの撮影か何かでスペインの田舎村に滞在している。 小さな村ではやることもなく、言葉も通じない。 村のレストランに入る。同じくや…
(Twitterに上げたものを備忘録としてアーカイブ化しときます) ・「NASAではどんなリーダーシッププログラムをやってるんですか」と宇宙飛行士の人に質問したら、「リーダーシップはあんまり教えないですね。むしろフォロワーシッププログラム。宇宙飛行士…
結論は「自動翻訳でもなんでも便利に使ってじゃんじゃん情報を浴びるべきやろ」なんですが、「個人的に」医学論文は原文のまま読んだほうがよいと思うところがある。その理由をずっと考えていた。 あくまで個人的な感情論で、他人に押し付けるつもりはまった…
「定年延長の流れでぼくら歴史学やってる者が危惧していることがあって」 ある時、近現代史学者のK先生が言った。 「それは郷土史家がいなくなることなんですね。 今までは、いろんな地方で仕事を引退した公務員のかたとか地域の人とかアマチュアの歴史家が…
とある往診サービスが撤退を発表した。診療報酬が下げられると判明した途端の、即断即決である。 道義的にどうかと思うが、純粋に経営的な視点だけからみれば、儲からなそうな分野から撤退するというのは仕方のないことかもしれない。 邪推だが、こうした即…
「友だちはそんなに必要ないけれど、仲間はそこそこいたほうがよい」 そんな話を、吉本ばなな氏の『吉本ばななが友だちの悩みについて答える』(2021年 朝日文庫 p.22)で読んだ(もとは雀鬼・桜井章一氏の言葉らしい。原著をご存知のかたは教えてください)…
〈「つくる」のではなく、「生む」という感覚を持つ〉 雀鬼・桜井章一氏の言葉だ。 〈麻雀は「いい手」をつくろうと頑張るほど、うまくいかなくなるものだ。私が勝負に際して常に大切にしているものは、「つくろう」とするのではなく「生む」感覚だ。〉 (『…
警官とさよならを言う方法はまだ発明されていないしSNSとうまく付き合う方法もまだ人類は見つけていないが、もしかしたら「ポジティブなことはピンポイントで、ネガティブなことはふわっと」書くのがコツなのではと思い始めた。 「生きとし生けるもの全てに…
「富山のね、指定されたお店に少し遅れて行ってね、お店の人に案内された部屋のふすまを開けたら、畳の上にスッと背筋を伸ばした青年が正座していた。 青年は深々とお辞儀をすると『先生、お忙しい中おいでいただきまして、ありがとうございます』と言った。…
「すぐ役に立つ本はすぐ役に立たなくなる本」であり、「すぐ役に立つ人間はすぐ役に立たなくなる人間」だ、という(小泉信三『読書論』岩波新書kindle版 第一章。後者の言葉は工学博士谷村豊太郎氏のものとのこと)。 なんでもかんでも「すぐ役立つ知識」「…
「女の子にね、『お前の付き合ってる男はサイテーだから俺と付き合え』って言って付き合ってもらえるか?肘鉄くらって、『確かにわたしの付き合ってる男は上等ではないかもしれないけど、わたしの勝手じゃない。そんなことあんたに言われる筋合いじゃないわ…
純度の高いヤツは危険だ。 普通の人間は、純度の高いヤツとずっと付き合えるほど強くはないのだろう。 インターネット文化黎明期には、かなりの感動があった。 匿名や仮名にハンドルネーム、実生活での年齢や性別や肩書きや社会的役割から解き放たれ、ネット…
「人間はね、一生の間に7〜8回、家電を買い替えます。前半の3〜4回は安売り量販店で買うかもしれない。我々のお客様は、後半の4回の買い替えの方々です」 昔、いわゆる“街の電器屋さん”で働かせてもらったことがある(本当)。冒頭のセリフは、そのレクチャ…
〈無責任なアドバイスこそ聞くに値する〉 (by 東京都・自営業 61才男性。『他人が幸せに見えたら深夜の松屋で牛丼を食え』鉄人文庫 p40) 最近の人はみんないい人だから(大雑把)、無責任なアドバイスというのはしない傾向にある(当社調べ)。 相手をおも…
ネットでのコミュニケーションをこよなく愛する令和男子だが、ごくたまに、1ppmくらいの確率でイラっとすることがある。あまりにも文意からズレたコメントをもらった時だ。ちなみにppmはparts per millionの略で、「100万分の1」のことである。おととい水道…
〈♪だからキライだよ こんな日に出かけるの〉 キライでもなんでも、とにかく出かけねばならない。仕事だからだ。 だいたいからしてクリスマスとか大晦日とかお正月というのは若手の医者が当直すると相場が決まっていて、クリスマスとか大晦日とか元旦くらい…
大きめのボウルにバターをひとかたまり。 たらこも多めに入れておく。 これまた大きめの鍋に、たっぷりお湯を沸かす。 日本パスタ協会によれば、パスタ100グラムに対し水は1リットル、水1リットルに対し塩は5〜10グラムがよろしいようだけど、そこらへんはま…
2016年に書いたものを加筆修正しました。 かつて出会ったアメリカの外交官は言った。 「今や、カルチャーショックがあるのは東京とニューヨークの間じゃない。 東京とニューヨークは似ている。 アメリカの田舎と日本の田舎も似ている。 差が大きくてカルチャ…
現役世代の一員として社会保障費の負担が大きいのは同感だし、「どれくらいの負担がええんやろか」と悩む日々ですが、国民皆保険制度自体はぜひとも永続してもらいたいと思っています。 備忘録的にまとめておくと、国民皆保険制度が成立したのは1961年。それ…
クリエイターやアーティストは、時々世界を焼きたくなるのではないか。いやたぶん焼きたくなるのだろう。 とあるニュースを見て、そんなことを思う。 2022年公開の映画『ザ・メニュー』はご覧になっただろうか。 『ハリー・ポッター』の一部でヴォルデモート…
「止まない雨はない」というヤツには「それより先にその傘をくれよ」と思うし「出口のないトンネルはない」というヤツには「トンネルじゃなくて洞穴だったらどうする」と思うし「辛いに一本棒を足せば幸せになる」というヤツには「何勝手に一本棒持ってきて…
「心というのはカメラのようなものです。 今ここ、今ここしか写らない。 過ぎ去りし過去を悔い、まだ来ぬ未来に怯えるのではなく、ただひたすらに今ここに向き合う。 ただひたすらに今ここを心に映してゆく。そうすることで悩みもすーっと消えてゆく。 ただ…
〈相ことなる職業にめいめいが従事することから人類に生まれてくる利益は、きわめて大きくまた明白である。なぜならそれによって、各人は彼のものである特定の技術において熟達して巧妙となり、彼らの任意の1人がすべてを自分で行う場合よりもはるかにすぐれ…
あくまで個人的なお話です。 「知識や経験、技術や倫理、責任などが要求される分野において」、いわゆるフラットな関係性というものに対して警戒感を抱いています。 その昔、「さまざまな関係者が参加する地域医療を考える勉強会」みたいなものに参加したこ…
「医者一人育てるの1億円から数億円の『国の税金が』投入されている」という、あえていえば都市伝説がある。 ほとんどの医者が否定的なのは、「『国の税金』が」の部分。全体のコスト、個々人が払う授業料とかエフォートとかをひっくるめた「全体の育成コス…
「お前ら、1人でメシ喰ったりしてないだろうな?」 大先輩に奢られながら、唐突にそう言われた。 大先輩は一代で上場企業を築いた人だから、成功者の部類だろう。 冒頭の言葉は、なにもぼくらが大先輩に隠れてうまいものを食べてるんじゃないだろうなという…
人間は、2種類に分けられる。 「生きるために食べる」タイプと「食べるために生きる」タイプだ。 そんなことを、米原万里氏が書いている(『旅行者の朝食』文春文庫 2004年 p.186-191)。 食事を生存のためのエネルギー補給としてとらえるタイプと、生きる喜…