2015-11-03から1日間の記事一覧

メディカル・ツーリズム(医療観光)を考える(R)

「日本の医療技術は優れているから、世界に輸出できる」。メディカル・ツーリズム、医療観光の議論になると必ず出てくる意見である。 一臨床医として、日本の医療技術が優れていることは信じる一方、こうした意見には大変な物足りなさを感じる。そこには「お…

「歩きスマホ」考(R)

駅や道を歩いているとよく見かけるのが、一心不乱にスマホを覗きこんでガンガン歩いてくるビジネスマンやOLだ。ほぼ前を見ず、手元のスマホを熱心に読みながら出勤している。すごい人になると、自転車や自動車を運転しながらスマホを読みふけったりしている…

3分診療でどこまでできるか2『悪魔の言葉、白くて丸い薬』

3分診療のままでよいとは思わない。だが嘆くだけでは状況は改善しない。 もし病院の外来で医者に精神的にダメージを与えたかったら一言こう言えばよい。 「よくわからないけど、白くて丸い薬を飲んでます」。 ひきつった笑顔の裏側で、確実に医者の心は折れ…

オバマケア成立前夜~アメリカと公的医療保険(R改)

「公的医療保険がそんなにいいものだったら、どうしてアメリカでは導入されないんですか」 以前に医療制度についてお話しした際出た質問だ。 以下、オバマケア成立前に書いた話。 アメリカには高齢者向けのメディケア、貧困者向けのメディケイドという公的医…

頭が痛いーオノマトペと共感覚(R)

「頭がずきんこずきんこするんですよ」。 患者さんが言った。ずきんこずきんこ。 初めて聞く表現だがなんだか雪ん子みたいでかわいらしい。 おそらく脈を打つような頭痛のことを示しているのだと思われるが、こうした症状を表す表現、擬態語、オノマトペとい…

3分診療でどこまでできるか~その1~

日本に働く医者として、大前提として3分診療でよいとは思わないと繰り返し宣言したうえで、じゃあどうするかを考えたい。少なくとも明日あさってのうちに3分診療体制が根本的に改善する可能性はないからだ。3分は短い。しかし3分あればビートルズなら「ラブ…

あえて憂う、「東大、推薦入試」。

NHKのニュースなどによると、来年春から東大でも推薦入試を行うという。ニュースによれば、<高校の調査書のほか語学力の証明書などで1次選考が行われたあと、面接などの2次選考を経て、大学入試センター試験の成績と合わせて合否が決められる>という(11…