「知識や経験、技術や倫理、責任などが要求される分野において」、いわゆるフラットな関係性というものに対して警戒感を抱いているというお話。

あくまで個人的なお話です。 「知識や経験、技術や倫理、責任などが要求される分野において」、いわゆるフラットな関係性というものに対して警戒感を抱いています。 その昔、「さまざまな関係者が参加する地域医療を考える勉強会」みたいなものに参加したこ…

「医者一人育てるのに『国の税金が』1億から数億円投入されている」という都市伝説はどうはじまったのか考。

「医者一人育てるの1億円から数億円の『国の税金が』投入されている」という、あえていえば都市伝説がある。 ほとんどの医者が否定的なのは、「『国の税金』が」の部分。全体のコスト、個々人が払う授業料とかエフォートとかをひっくるめた「全体の育成コス…

ビジネスメシ戦略試論。

「お前ら、1人でメシ喰ったりしてないだろうな?」 大先輩に奢られながら、唐突にそう言われた。 大先輩は一代で上場企業を築いた人だから、成功者の部類だろう。 冒頭の言葉は、なにもぼくらが大先輩に隠れてうまいものを食べてるんじゃないだろうなという…

「生きるために食べる」か「食べるために生きる」か。

人間は、2種類に分けられる。 「生きるために食べる」タイプと「食べるために生きる」タイプだ。 そんなことを、米原万里氏が書いている(『旅行者の朝食』文春文庫 2004年 p.186-191)。 食事を生存のためのエネルギー補給としてとらえるタイプと、生きる喜…

「頭のいいこと」の効能は25年から35年で切れるのではないか仮説とその対策。

「頭のいいこと」の効能というのは25年から35年で切れるのではないかと常々考えている。 生きていく上で、「頭のいいこと」が有利に働くのは若手から中堅くらいまでで、そこから先は別のファクターが必要なのではないだろうか。 「頭のいいこと」の効能が切…

病院受診の質を上げるためのたった3つのこと③

「目的」「主語」「語尾」をはっきりと明確にすることで病院受診の質を上げることができると書いた。 「語尾」とは何か。 わかりやすいので具体例をあげてみる。 ある日の診察室。 「お加減いかがですか?」 「加減はねえ…」 「食欲はどうです?」 「食欲は…

渋谷区ハロウィン騒動防止法試案。

渋谷区が「ハロウィンには渋谷に来ないで!」と言っているらしい。 www3.nhk.or.jp 「街おこしには『若者、馬鹿者、よそ者』が必要。来たれ若者、馬鹿者、よそ者よ!」と人を集めておきながら実際に若者、馬鹿者、よそ者が来ると排除しようとするのは、地方…

病院受診の質を上げるためのたった3つのこと②

病院受診の際、「目的」「主語」「語尾」を明確にすることが受診の質を上げることにつながると先日書いた。 「主語」「語尾」を明確にするとは何か。 病院受診とは情報戦である。 適切な情報を提供し、医者から適切な診断や治療を引き出す。 そのための病院…

病院受診の質を上げるためのたった3つのこと①

3つのことをはっきりさせるだけで、病院受診の質を上げることができる。 非常に簡単かもしれないが、簡単ではないかもしれない。 完璧な受診なんてない。完璧な絶望がないようにね。 さてと。 病院受診の質を上げるため、あるいは受診の際の不完全燃焼感を下…

ヤンキースタジアムと「とりあえず今は幸せ」

ヤンキースタジアムで思ったのは、赤羽駅前商店街だった。上原隆氏のエッセイで、こんな店が出てくる。赤羽駅前、朝の9時、店の名前は「まるまん屋」。朝から美味しいものをアテに、酒が飲める。三交代制勤務、夜勤明け仕事帰りの中年男が、上原氏と言葉を交…

海外のwebサービスって解約が楽だよなーという話。

海外のwebサービスって解約があっさりしてて気持ちいい。 日本のwebサービスだと解約しようとしても解約の仕方がわからないように作ってあったり、解約ページに飛べてもなかなか解約させてもらえなかったりする。 そこへ行くとアメリカのwebサービスとかは「…

潜在看護師を掘り起こすためのある病院の取り組み。

「どこも看護師不足で」 むかし見学に行った茨城の病院で聞いた話。 「看護師紹介の業者もありますが、手数料もかかる。だいたい年俸の3割くらいが相場でしょうか。でも、そういう業者を利用して看護師さん紹介してもらってもすぐ辞めちゃったりする。 で、…

新人看護師離職率を下げるための工夫と『リアリティ・ショック』

「ご存知の通り、看護師の離職率は高いです。特に新人看護師が辞めてしまう。そこで我々は」 かつて見学に行った静岡の病院で聞いた話。 「辞める理由を調べました。新人看護師の辞める理由を。 もちろんいろいろな理由があります。でも改善できる点があった…

〈人生の最後にもう一度「青春」が来る〉らしい。

〈四十歳から五十歳までの十年間は、情熱ある人びとにとって、芸術家にとって、常に危機的な十年であり、生活と自分自身とに折り合いをつけることが往々にして困難な不安の時期であり、たびかさなる不満が生じてくる時期なのだ。しかし、それから落着いた時…

「入門したら徹底的に”遊ば”せる」。深夜のバーで噺家が言った。

「あたしらの世界はね、入門したら徹底的に遊ばせるんです」 深夜のバーで噺家が言った。 「徹底的に遊ばせるとね、どこかで『ああ、“遊ぶ”といっても所詮はこんなもんか』ってなって、そこから芸の稽古に身が入る」 数十年前に聞いた話。 その一門だけの話…

ジミーの流儀。

週刊プレイボーイで30数年前に読んだ話が、今も心に生きている。 映画の都ハリウッドに一人の男がいた。うろ覚えなので、仮にジミーとしよう。 ジミーはいわゆる業界人ではない。純粋な映画ファンだ。 面白い映画良い映画を観れば興奮して会う人ごとにその映…

謎が解けた日。

悩みに悩んだ謎が一気に解け、あらゆる問題が解決する瞬間がある。 謎1. 外来で、コレステロール値と血糖値がやたらと高い男性がいた。 南のアジアから働きに来ている人だったが、何度聞いても野菜と魚中心のきちんとした食事だという。 「だってドクター…

我、ライナーノーツを愛す。

〈(略)現代において“いーかげん”であり続けることがいかに困難にことか。気が付くと、人間は自分自身のため、家族のため、企業のため、社会のため、国のために汗を流し、自分自身が望んだものはそんなものじゃないのは百も承知の上で大してどーでもいいよ…

医者の仕事も科によっていろいろ。

医者の仕事も科によっていろいろ。 今まで「へー、そういう考え方でその科を専門にしたんだ」と感心した例がいろいろありました。 ①血液内科医「消化器外科と消化器内科、心臓外科と循環器内科とか、外科と内科って対になってるけど、血液外科というのは無い…

選挙と手品は似ているという話。

選挙と手品は似ている。 どちらも、ショウが始まる頃には仕込みは終わっている。 田中角栄は新人候補にこう言った。 〈戸別訪問を三万軒やれ。辻説法を五万回やれ。そうすれば当選できる。県境の沢に分け入り、四、五十人の村まで訪ねろ。そして、じいさん、…

海の民 山の民。

とある地域の漁業組合にヒアリングに行ったことがある(本当)。 昔より遠洋漁業の勢いが無くなって少し元気が無いみたいな話の流れの中で、仲間の一人がこう言った。 「隣町は伊勢海老の養殖で成長してるとか。この町ではやらないのですか」 漁協の方が言っ…

若さの本質は「試行錯誤」と「時間の浪費」である。

〈若い時に若かった人は仕合せである。よい時期に成熟した人は仕合せである。〉(プーシキン『オネーギン』岩波文庫 1962年 p.138)「君ら、いくつや?…そうかええなあ。10億円出しても代わりたいわ」島田紳助氏が吉本総合芸能学院の若手に講義した時、そん…

【備忘録】京都に全力で上手する【大人の事情】

(「大人の事情」で全力で京都に上手をしたツイート群) 京都の魅力の一つはその懐の深さだ。 東京という街は奇人変人傾奇者に対し見て見ぬふりを決め込むか反対に骨の髄までしゃぶり尽くして最後は捨てるが、京都という街は奇人変人傾奇者を愛でるところが…

【備忘録】腕時計あれこれ

(自ツイートのまとめです。備忘録的に)4月から研修医になるかたへ。 不本意ながら「腕時計買え」とアドバイスさせていただきます。 いつの日か、おごそかな雰囲気の中で現在時刻を確認する役目が回ってきます。 そのときに腕時計が無いと、スマホで確認し…

【備忘録】『火垂るの墓』雑感。

ここのところTwitterで『火垂るの墓』が話題だ。いわゆる自己責任論的な視点での批判的ツイートが少なくない。しかしもちろん、『火垂るの墓』はそんな単純明快な話ではない。 『火垂るの墓』の原作読むと、親を失い家を失い未来を失った子ども達が「浮浪児…

仕事量をどのくらいにチューニングすればちょうどいいのか問題と「宥坐の器」

仕事をし始めて20年以上が経つ。ほんの7〜8年前に大学を卒業したくらいの肌感覚なのだが(←本当)、時の経つのは早い。いわば自営業なのでいつまで働くか日々の仕事量をどれくらいにするかはある程度コントローラブルである。幸せなことだが一方で自分で決め…

【備忘録】ミッキー経済vsポケモン経済

「日本にはもうアニメや漫画くらいしか売れるものがない」と自嘲気味にいう人がいる。 だがちょっと待ってほしい。 たとえばミッキーマウスが存在しないアメリカを想像できるだろうか。 アメリカのGDPは23兆ドル。 ミッキーの売り上げは706億ドルだ。 対して…

”シャリっ”とするアイスとワクチン接種。

「アメリカのいろんな街に行くとさ、オレ必ずあのアイスクリーム食べるんだよ。ほら日本でも売ってる、ドイツっぽい名前のアイス。 そうするとね、いつものあのアイスが出てくる場合と、“シャリっ”とするアイスがある」 友人Aが言った。 シャリっとするアイ…

【備忘録】加齢後の世界。

加齢とともに価値が見えてくるものがある。その一つが「ディナーショウ」 若い時は、最盛期を過ぎた歌手のショウになぜ大人は何万円も払うのか疑問だった 今ならその価値がよく分かる 自分の青春時代のスターと近くのホテルとかで会えるのだ スタンディング…

「勢い」考。

「勢い」とはなんだろうか。 先日、友人Aと話していてそんな話になった。 僕は不可知論者/agnosticなので、できるだけ超自然以外のものに答えを求める。 誰かが「勢いに乗っている」状態はどのようにして作られるのか。考えながら書いてみたい。 「勢いに乗…