3分診療でいいと思っている医者はいない(たぶん)

「3時間待ちの3分診療」。昔から日本の病院を揶揄するのにつかわれる言葉だ。
日本の医師は、3分診療でいいとは決して思っていない。

できることならお一人お一人の患者さんに十分時間をかけて丁寧に診察し、患者さんも医師側も満足できる診療をしたいと医者なら誰もが思っている(たぶん)。

しかし、次から次へと患者さんが訪れるので、やむなく短い診療時間になってしまっているのが日本の医療機関の現状だ。
「医者にかかると殺される」「薬を飲むと殺される」とショッキングなことを書いてベストセラー作家になれる近藤誠氏のような「能力」(と医者としての良心の欠如、科学者としての検証責任の放棄。サイエンティストにはどんな突飛な自説でも訴える自由があるがそれは客観的検証とその結果を提示する責任とセットだ)があれば、30分3万2000円(自費・現金のみ)、9時~15時までの余裕のある診察ができるのだが、はっきり言ってそこまで堕ちたくない。
自分の持つ医学的能力を最大限活用し、ただひたすらに目の前の患者さんのためにできることをやり続けるだけだ、という諦めにも似た覚悟とともに仕事をしているのが日本の医師だと思う。
欠点がないとは言わない。変な医者もたくさんいる。けれど物言わぬ良心的な医者がいつだって大多数だということを少しでも伝えられればと思う。

ただし、3分診療はダメだといっていても改善の兆しはない。むしろ高齢化に伴って医療ニーズは急増しているので、ますます一人の患者さんにかけられる時間は短くなっていく。
最近大きい病院では、定期受診の間隔が2~3か月おきになっている。

どうしたら自衛できるのか、伝えたいというのが「3分診療時代の長生きできる受診のコツ45」という本です。