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余命宣告としてのM-1グランプリ

5年ぶりのM-1グランプリトレンディエンジェルの優勝で幕を閉じた。恥ずかしながらハゲネタだけの一発ネタ屋だと思っていたのだが、今回見ていて圧倒的に巧いことに気づかされた。己の不明を恥じるばかりである。
久々のM-1で大変楽しいひとときを過ごさせてもらったが、ふとした瞬間に背筋が凍るような凄みを感じることがあった。画面の中には不在の、二人の突き刺すような視線を感じたのである。
いうまでもなく、島田紳助松本人志の二人だ。

M-1の出場要件はコンビ結成10年以内(今年は15年以内)である。よく知られている通り、これは「10年やってM-1の準決勝に出られないのならお笑いで喰っていくことは出来ない。そのままダラダラやっていても本人のためにならないから、やめてしまえ」という島田紳助の思いが込められているという。
4分間で自分たちの笑いが表現できるかと言ってM-1に背を向ける浅草キッドのような例もあるが、普通の芸人ならこれだけのグランプリを意識しないわけがない。「10年以内に出られなければやめちまえ」という裏メッセージを持ったM-1を意識した瞬間から、持ち時間は10年。
エントリーして通らなければ、自分たちの芸人としての余命が一年削られたという残酷な大会がM-1なのだ。

究極のWinner takes all、完全成果主義の競争社会、お笑い界。
部外者である僕らはただただ笑って見ているだけだが、頂点を極めたトレンディエンジェルの陰で、今年は何人の芸人がお笑い余命を絶たれたことか。そしてその数は、トレンディエンジェルがここまで失い続けてきた毛髪の数とどちらが多いかと思うたびに、僕らは光強いほど影も濃いということを思い知るのである。
ぺ。

付記)「M-1勝者に虚偽疑惑!?トレンディエンジェル斎藤に囁かれる『ハゲヅラ』のウワサ。ハゲと見せかけて、実はフサフサ!?」東京スポーツ号外より(嘘)

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