脳内アメリカ人、『アンパンマン』を語る。(R)

ここのところアイン・ランドというロシア系アメリカ人の小説、『肩をすくめるアトラス』(2004年 ビジネス社。アメリカでの出版は1957年とのこと)を読んでいるせいか、こんな嵐の晩には心の中で脳内アメリカ人が動き出す。
今晩の論題は「アンパンマン」のようである。

「アンパンマンだって?
オーマイガッ、あんなものを子供に見せるなんてまったくどうかしてるぜ。
いいかい、困っている人に自分の顔をタダで分け与えるなんていうけれど、それは本当に彼らのためになるのかい?
与えられるばかりでは、自分でなんとかしようと努力すらしなくなるじゃないか。
アンパンマンは人々から自立心を奪い去ってるんだぜ、ユーノウワライミーン?

おいおい、しかもこのアニメにはこの世で一番大事なものが出てこないじゃないか。
一番大事なもの?
決まってるじゃないか、マネーだよ、マネー。
M-O-N-E-Y、マネー。
農業と小規模工業で成り立つ物々交換の世界って、これじゃあコミュニズムじゃないか。
21世紀のこのグローバル資本主義の世の中でそんなものを子供に見せるなんて、アンビリーバブルなビヘイビアだぜ。

しかもだよ、アンパンマンのアイデンティティはどこにあるっていうんだい?
バイキンマンに顔をやられたらすぐアンクル・ジャム、as known asジャムおじさんに新しい顔をつくってもらうだろ。
彼の個性や人格は頭部に存在するんじゃなくて、体幹に存在するってわけかい?
人格っていうのはさ、心臓=ハートにあるんじゃなくて、脳=ブレインにあるんだぜ。
次から次へとブレインが入れ替わってもアイデンティティが保てるなんて、not サイエンティフィックでスーパーナンセンスじゃないか。

それにさ、敵のバイキンマンとの戦いだってぼくたちアメリカ人からしたら信じられないよ。
バイキンマンの本拠地がわかってるのに、最後までとどめを刺さないだろ?
ウィーハブリアルエネミーズインザワールド、世界にはリアルな敵がいるんだぜ。
奴らを見つけて、追い詰め、打ち負かさなきゃならない。
フォーザフリーダム、自由のためにね。
毎週毎週バイキンマンが逃げるのを見逃してるが、あれじゃあ馴れ合いじゃあないか。
それともアンパンマンはチキンかい?
さ、今こそ無人戦闘機を飛ばすんだ!

それはそれとして、バイキンマンは立派な奴だぜ。
何度打ち負かされても、カウントナインで必ず立ち上がる。
己の欲望に忠実に、才能のすべてを打ち込んで素晴らしい発明を毎週繰り出す。
ネバーギブアップ、決してあきらめない、he is THE man、奴こそ男さ。

HAHA、話が長くなっちまった。
早くしないとアンチョビのピザが冷めちまう。
バドとクアーズで乾杯と行こう。
チアーズ!!」

....脳内アメリカ人がうるさいので、そろそろ寝ます。
(FB2013年10月16日を再掲)

 

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