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ニュース「頭の中の言葉を脳波で解読ー九州工業大」に思う。

1月4日付西日本新聞web版によれば、九州工業大学のグループが脳波の変化を使って頭の中に描いた言葉を推測することに成功したという。
おそらくBMI、ブレイン・マシン・インターフェースと呼ばれる分野の一つで、将来的には単純な言葉だけでなく考えていることなども脳波を使って読み取られるようになるのであろうか。

ひところ脳の反応を計測してマーケティングをするというニューロマーケティングという手法が話題になった。有名なのが2004年にベイラー医科大学で行われた研究だ。この研究ではペプシコカ・コーラをボランティアに飲んでもらってその脳の反応をみた。
面白いことに、ボランティアの人たちが自分の飲んでいるコーラの銘柄を知らないまま飲んでいるときは脳の反応に差は出ず、先に銘柄を知らされてからコーラを飲むと、コカ・コーラを飲んでいるグループのほうが<脳のスキャンでも記憶と感情に関連する領域に活発な働きが見られた>という(< >内はクーリエ・ジャポン 2012年March号p.37。元記事は米新聞Fast Companyとのこと)。この研究では、いかに消費者の嗜好にブランド力が大きな影響を与えるかが証明された(ことになっている)。

そのほかにもニューロポリティクスという分野もあって、こちらでは米大統領選の候補者のポスターを見せて、どちらの候補のポスターを見たときに被験者の脳が良い反応を示すか調べたりするそうだ。日本でも某県知事は大学教授時代にニューロポリティクスの研究に携わっていたとかいないとか。

こうした話を聞くと、科学がどんどん進んでいくと人間の心がなんでもかんでもわかってしまうように思えてきて少々怖くなる。

その一方で、新しいことがわかるとまた新たな未知の領域が現れてきて、科学の進歩と未知の領域の開拓は永遠に続くような気もする。
そこらへんのところを寺田寅彦はこんなふうに書いている。

 

<暗夜に燭(しょく)をとって歩む一歩を進むれば明は一歩を進め暗も亦(また)一歩を進める。而(しか)して暗は無限大であって明は有限である。暗は一切であって明は微分である。>(寺田寅彦「知と疑」より)

未知を解明するとは、暗闇の中でろうそくを持って歩いているようなもので、新しい何かを発見するとさらにその先に未知の暗闇が広がっている。未知の領域は無限だ、という意味であろうか。
だからといって未知の解明という歩みを止めるわけにはいかないのも人間の性質だ。今年はいったいどんな未知が解明されるのだろうか。

 

 

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