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見せかけの成長から豊かな成熟へ あるいはGDPからGDEへのギアチェンジ

日本人一人あたりのGDP国内総生産額は現在3万ドル台となってしまった。

ecodb.net

アジアトップのシンガポールが5万6000ドル余りということを考えると、この差を縮め逆転するのは容易いことではない。
生産性を上げるとか投資を増やすとか爆買観光客をさらに呼び込むとかやるべきことはまだまだあるが、皆が思っていながら公には語られないことがある。
GDPの爆上げ、無理じゃね?」ということだ。

あとできちんとデータの裏を取るが、友人Aによると日本の生産人口は約5000万人。少子高齢化により、そのうちの1%の約50万人が毎年減少しているという。毎年1%ずつ減る生産人口で前年比100数%の生産をしなければGDPは上がらないのだ。

GDPの数字を見せかけ上あげることはある程度可能だ。
専業主婦が働きに出ればいままでカウントされていなかった家事労働分の労働が金銭に換算されカウントされる。家事代行やベビーシッターを頼めばその分もGDPに加算される。
GDPの算定方法を変えれば、今までGDPにカウントされていなかった研究開発費もGDPに繰入れられる。
だがしかし、見せかけの「成長」には限界がある。

いま日本社会が目指すべきなのは、見せかけの成長ではなく豊かな成熟ではないだろうか。

たとえば労働の成熟。
サービス残業に苦しみ過労死する人がいる一方で職の無い人がいるというのはアンバランスだ。
前者は忙し過ぎて、後者は経済的不安から子供が持てずに少子化が加速しているならば、これは将来を抵当に入れて現在をしのいでいるようなものだ。

たとえば民主主義の成熟。
もっともっと是々非々の議論が活発に行われるような世の中になるとよい。

たとえば文化の成熟。
小山薫堂によれば、日本の映画産業は約2000億円の規模(①)で、もし2000億円の予算があれば日本中の映画を無料化できるという(②)。そうすれば日本の映画産業・映画文化は盛り上がるだろう。
現状では、日本を代表する女性映画監督でさえ、制作費を国内で調達できずにフランスの会社などから調達している状況だ。

生産人口が減る中、見せかけの成長を大目標にするのはほどほどにして、暮らしの豊かな成熟を目指す方向にギアチェンジするべきときではないだろうか。
価値観を増やし(ある程度のお金はもちろん必要で、GDPも大事だから価値観を変えるとは言わない)、GDP=Gross Domestic Product一辺倒からGDE=Gross Domestic Excellence国内の総合的な洗練度も価値観の物差しに加えるべき時が来ているのではないだろうか。

おまけ)ぼく自身は、成熟を通して成長につなげることは可能だと思っている。
藻谷浩介『デフレの正体』に、拡大G8の中で日本からの輸出より相手国からの輸入が多いのはフランスとイタリアだという話が出ていた。G8以外ではスイスが対日貿易が黒字で、利ざやの少ない工業品輸出で稼いだ金で、イタリア・フランスの高付加価値のブランド品やスイス製の高級時計を買っている構図である(③)。
GDEの高い国になれば、付加価値の高い商品を売ることもできるかもしれないのだ。

映画業界と映画館の最新動向を知る:nikkei4946(全図解ニュース解説)

小山薫堂『もったいない主義』幻冬舎 kindle版 「第4章 幸せの閾値を下げる」

③藻谷浩介『デフレの正体』(角川oneテーマ21 2010年 p.47-51)

 

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