精神論はどこまで有効か(R)

「精神論や根性主義って、どこまで有効なんでしょうか」。
そんなことを元陸上自衛官の方に聞いたことがある。
精神論が有効ならば日本は戦争に負けなかったんじゃないのと皮肉に思う一方で、土壇場での頑張りや踏ん張りががらっと状況を好転させるというのもまた事実だからだ。

「相手の顔が見える範囲でしょうね」
元陸上自衛官の方の答えは明確だった。
任務で過酷な指令を部下に課すとき、「まだやれるか」とじっと相手の顔を見る。
「まだやれます」と同じ言葉が返ってきても、相手の顔を見て、まだいけそうか、とても無理かを判断する重責が、精神論には必ずくっついてくる。
判断ミスもあるだろうし、無理に無理を重ねざるを得ないこともある。
しかし相手の顔が見える範囲を越えて精神論が振りかざされると抑止が効かず、時に大きな悲劇を産む。
だからこそ組織が大きくなると脱皮が必要で、忙しくも楽しいワーカーズ・ハイの常時アクセル全開の尖ってギラギラした小集団から、ルールとコンプライアンスばかりが優先される大集団にと変容していくことになる。
それはもしかしたら官僚主義大企業病の芽生えかも知れないが、精神論や根性主義が産む悲劇とのバーター取引、トレードオフなのだろう。
(FB2013年7月6日を再掲)

 

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