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3分診療でどこまでできるか26『災害直後にはたこつぼ型心筋症・肺塞栓などのリスクが1.5~2倍に増えるーリスクを下げるには水分・運動・睡眠』

日本内科学会では、熊本地震への対応として災害医療に関する情報をサイト上で提供している。

【緊急】「平成28年熊本地震」への対応 | 災害医療情報 | 日本内科学会
そこで提供された資料に基づき、災害直後にリスクが上がる病気について述べていく。

災害直後から起こりやすくなる病気は、心臓や血管に関する病気(循環器系疾患)だ。なかでもリスクが高いのは70歳以上の高齢者である。時間帯として注意が必要なのは夜間から早朝にかけてだ。

災害時の循環器疾患:内科診療の留意点 | 災害医療情報 | 日本内科学会


心臓や血管の病気の特徴として、「突然起こる」ことが挙げられる(「心臓の病気」という言い方だと例外も多いが、非医療者に理解していただきやすくするため正確性を犠牲にしていることをご容赦願いたい)。
心臓の血管が詰まる心筋梗塞の場合や、肺の血管が詰まる肺塞栓の場合、血管が詰まるまではふつうだが、詰まった瞬間に症状が突然起こる。

「突然」胸が痛くなった、「突然」呼吸が苦しくなったという場合は、心臓の血管が詰まったかもしれないし、肺の血管が詰まったかもしれない。「突然」の胸痛・呼吸の苦しさの場合には、様子を見たり遠慮をしたりせず、すぐに最寄の医療者に声をかけなければいけない。そのときには必ず「突然」というキーワードをつけて相談していただきたい。とにかく「突然」の症状出現は危険信号だ。

災害後、不安や緊張など精神的ストレスが高まる。極度に精神的ストレスが高まり、そこに脱水などが加わると血液は固まりやすくなる。また、避難所などでは身動きがとりにくくなり、いわゆるエコノミークラス症候群の状態となり、脚に血の塊ができやすい。それが肺に飛ぶと肺塞栓といって突然の呼吸困難を起こす。

避難所の状態が分からないまま書くのは忍びないのだが、可能であれば水分補給をしっかりして(飲料水が確保できていないところもあるはずで、無責任なアドバイスだとは自覚している)、ストレッチなどのできる範囲での運動睡眠確保によりリスクを少しでも減らせるはずだ。

また、災害直後に増える心臓の病気として「たこつぼ型心筋症」がある。たこつぼ型心筋症は極度のストレスなどが引き金になって一時的に心臓の動きが悪くなる病気で、症状は突然の胸の痛みや息苦しさだ。
たこつぼ型心筋症は心筋梗塞とは違って心臓の血管は詰まっていないのだが、症状も心電図の波形変化も心筋梗塞と変わらない。たこつぼ型心筋症だと診断が確定するには、病院での細かい検査が必要で、やはり症状が出たらすぐ医療者に声をかけるしかない。

繰り返しになるが、災害直後は特に70歳以上の方々に心臓や血管の病気が起こりやすい。通常時の1.5~2倍以上にリスクが増える。キーワードは「突然の胸の痛みや息苦しさ」だ。

少しでも早く地震がおさまりますように。

hirokatz.hateblo.jp

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