3分診療でどこまでできるか27『災害発生後数日から避難所では風邪や下痢などの感染症が増えるーリスクを下げるためにはマスク・手洗い・うがい・消毒』

熊本地震への対応として内科学会では災害医療に関する情報提供をしている。

その一部、医療支援編(避難所編)は2004年の中越地震の際の経験をもとにかかれている。この資料をもとに述べる。

医療支援編(避難所編) | 災害医療情報 | 日本内科学会


災害発生時、避難所生活を余儀なくされる方々がいる。4月18日配信の読売新聞記事によれば、今回の地震の避難者は9万4000人余り。

熊本地震での避難者、九州5県で9万4千人超す (読売新聞) - Yahoo!ニュース

 

避難所は集団生活となるため、胃腸炎や風邪、気管支炎などが一度起こると感染が広がりやすい。上述資料によると中越地震の際には災害発生数日~1週間ほどで胃腸炎、風邪、気管支炎などが流行りだしたとのことだ。

実際、熊本市の避難所では2人のノロウイルスの感染者が確認されはじめている。

熊本市の避難所でノロウイルスの感染者2人確認(フジテレビ系(FNN)) - Yahoo!ニュース

個々の避難所の物資の状況がわからないのだが、こうした感染症のリスクを減らすにはマスクがあればマスクの着用、消毒薬使用による手や指の消毒、水が確保できるのであればうがいや手洗いが有効だ。
風邪のウイルスはくしゃみで飛ぶ微小の唾液など(飛沫)でうつるので、マスクによってその飛沫をある程度ブロックできる。マスクをすることで鼻やのどの乾燥を防ぐこともできる。マスクが入手できなければハンカチやタオルで鼻やのどを覆うのもある程度有効だろう。
マスクだけでなく、水を使うことが可能ならばこまめなうがいが大事だ。


腸炎にかかるリスクを減らすには手や指の清潔が必須だ。ウイルスのついた指先が口に入ることで胃腸炎に感染しやすくなる。避難所ではパンやおにぎりなど手でもってものを食べる機会も多いだろうし、何気なく手を口にあててしまうことは結構多い。

手洗いをする水が手に入るのであれば手洗いを、消毒薬があれば消毒薬で手や指先の清潔を保つことが大切である。

 

もし避難所におられるかたが風邪や下痢の症状が出てしまったら、「迷惑をかけるから一人で我慢しよう」などと遠慮しないほうがよい。周囲の医療者がいれば症状の出始めから相談することが望ましい。かかりはじめのほうが治りやすいし、我慢して重症化したらかえって治療が大変になってしまう。

風邪や下痢になってしまったことは誰の責任でもないのだが、「迷惑をかけるから一人で我慢しよう」と無理をすると、結果的にウイルスなどを広めてしまうかもしれない。風邪や下痢の症状に気づいたら早めに相談して、場合によっては避難所から病院などにうつることで、ご自身の体の負担と避難所全体の感染被害を最小限にできるはずだ。

一日も早く地震がおさまりますように。

hirokatz.hateblo.jp

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