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フランス人D君が教えてくれた日本人、ヨーロッパ人、アメリカ人の違い 2ー「なぜ」と「なんぼ」と「どのように」(R)

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(写真はイメージです。photo ACより)

知人のフランス人D君があるときこう言った。
「なにかをやるとき、ヨーロッパ人がこだわるのはwhyだが、
日本人はhowにこだわる。
そしてアメリカ人が最もこだわるのはhow muchだ」

 

実証は難しいが、仮にその話が正しいとするといろいろ納得のできることがある。
ヨーロッパがwhy=「なぜ」、アメリカがhow much=「なんぼ」、日本がhow=「どのように」にこだわるというのは、それぞれオリジン重視、アウトプット重視、プロセス重視と言い換えられる。

 

外から見ると、たしかにアメリカという国はアウトプットや結果がすべて、経過はともかく成果を上げなければ意味がない、という風潮があるように思える。

身近な例でいえば、「Hack」という考え方。
山形浩生によれば、Hackとはもともと斧やナタ、まさかりなんかでばさばさ切る、というイメージの言葉だそうだ。「雑な仕事」という意味もあるし、おおざっぱにぱっとやったものでもきっちり役に立つ仕事、という意味もあるそうな。
手間ひまかけた綿密な仕事ではなく、アイディア勝負でラフにぱぱっとやってもしっかり結果がでればOK、というノリが「Hack」という言葉にはある。
こうした結果オーライの「hack」は、実はアメリカの開拓者精神につながるものだという。

 

なにもない新世界で、開拓者が手持ちの道具でささっと必要なものをラフにつくって役立てる、という感覚で、「たぶん、ヨーロッパでは支持されにく考え方じゃないかな」と山形はいう。(『Hackについて―およびそこにあらわれた、哀れなAsshole野郎山形浩生の各種無知と愚かな物言い』より。原文は http://cruel.org/freeware/hack.html )

 

それに対し日本は「どのように」にこだわる国で、成果はともかくプロセスを重視する。
例を挙げればきりがなく、「手作りの味」(プロセスは手作りだが、うまいかまずいかは不明)、「心をこめたおもてなし」(心はこもっているが結果は不問)、「まじめにやれ!」(まじめにやれば成果は問わない)などなど、プロセス重視の物言いはぼくらの身の回りにあふれている。

どっちがいいかはケースバイケースで好きずきだが、思考のクセは無自覚のままだと弱点にもなる。行き過ぎた成果主義は不正も生むし、プロセスに拘泥すれば結果がおろそかになる。

 

「どのように」が「なんぼ」に負けた例として、日本の喫茶店がある。
昔読んだ話で今回ソースを確認できなかったので、もし詳しいことをご存じの方がいらしたら教えてください。

その昔、ある外資系大手カフェチェーンが日本で事業展開を計画した。
事前調査で、日本にはすでに独自の喫茶店文化があり、全国津々浦々の喫茶店はどこもしっかりと顧客をつかんでいることがわかった。今更そんな国でコーヒーショップをチェーン展開しても成功はないんじゃないか、そう悲観的になったが、さらに調べると十分に勝算がありそうである。


実際に店を訪れると、日本の喫茶店のマスターはどこでもコーヒーにこだわりを持ち、豆のひき方、お湯の注ぎ方、など「どのように」コーヒーを入れるかは徹底的に研究していたが、どうも思ったほど美味くない。なぜならコーヒーの味は9割がた豆の鮮度で決まるのにも関わらず、何か月も船の倉庫の中で室温のまま置かれて輸入された豆をなんの疑問もなく仕入れ、残りの1割の「どのように」入れるかというところだけに血道をあげていたからだという。
かくして「なんぼ」の国のカフェチェーンは「どのように」への国の進出を決め、鮮度のよいコーヒー豆を厳密な品質管理で輸入し供給することで、市場を席巻していった。

個人の喫茶店主には限界があり、輸入時のコーヒー豆の保管状況が可変なものとは夢にも思わなかったという同情すべき点はあるが、「入れ方はどうあれ、コーヒーはうまくてなんぼ」という視点は乏しかったのかもしれない。

 

駆逐された喫茶店文化の轍を踏まないようにするには、こうした思考のクセを自覚し、「どのように」の泥沼から脱却することが肝要だ。そのためには時折、「なぜ」や「なんぼ」の視点を意識的に取り入れていくのがよいだろう。

 

会議などで「どのように」プロジェクトを進めるかで何時間も議論が錯綜し、みなの意識がもうろうとした時には、「そもそも『なぜ』このプロジェクトが始まったんでしたっけ」とか、「結局このプロジェクトは『なんぼ』の成果を上げればいいのだろう」などと疑問を投げかけることで、煮詰まった局面が打開されるかもしれない。

 

「なぜ」と「なんぼ」と「どのように」を程よくブレンドし、香り高い明日の日本をつくっていきたいものである。

(FB2013年5月9日を再掲)

 

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