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週刊現代特集のアノ発言はホントなの?特集『断ったほうがいい「薬と手術」』、5つの大ウソ

週刊現代のお祭り騒ぎはまだ続いている。

『飲み続けてはいけない薬』特集のおかげでさぞや売れているのだろう。通常より約10万部ほど多く売れている感じだろうか。

今週は特集第5弾『医者に言われても断ったほうがいい「薬と手術」』。

表紙で取り上げられている薬は、ジャヌビア、ミカルディス、リピトール、プラビックス。本文ではオプシーボやワーファリンなども登場している。

 

6月25日号のp.54では<サイアザイド系の利尿剤であるラシックス(略)>と間違って書いていたのをしれっと<ループ利尿薬のラシックスなどは(略)>(7月9日号 p.58)と断りなく訂正していたり、あいかわらずのN大名誉教授のコメントの使い回しなどなど、週刊現代ウオッチャーとしてはオヤというところも多いが、黙っているわけにいかないのは5点のウソだ。

薬には副作用がつきものということや、多剤投与の問題など、支持すべきところは支持したい。しかしあからさまなウソはやめていただきたい。超一流中年エグゼクティブ雑誌、日本を代表するクオリティマガジン週刊現代の品位を自ら落とす行為だ。

 

週刊現代のウソ① 儲けるために医者は薬を出す⇒院外処方では病院がもらえるのは処方せん料だけ

 

現在、多くの病院は院外処方の仕組みを採用している。

病院では処方せんを発行し、その処方せんを持って病院の外の薬局に行って薬を「買う」(「薬をもらう」ということが多いが、「薬を買う」が正しい)。
週刊現代の特集では、医者や病院が薬をたくさん出すのは儲けるためと一貫して主張するが、院外処方の方式では、いくら薬を出しても病院がもらえるのは処方せん料680円だけ。しかも、6剤7剤ルールといって、処方する薬の数が7種類を越えると、もらえる処方せん料は400円に下がる。薬を出し過ぎると病院は儲けが減る制度だ。
院外処方の病院にかかっている人は領収書見ればすぐわかることだが、この仕組みがわかっていないのでは取材をせずに記事を書いていると思われても仕方ない。
(参考サイト↓ 

F400 処方せん料 - 平成28年度診療報酬点数 | 今日の臨床サポート )

 

週刊現代のウソ②胃瘻をつけると自由に動けずベッドから離れられない⇒大ウソ。胃瘻をつけてふつうに活動している人はたくさんいる

 

7月9日号p.49 にはこんな記述がある。
食道がんの手術は、「人間本来の食べるという機能」を失う可能性がある。(略)
最悪の場合、胃に穴を空けて(原文ママ)直接、栄養を送り込む「胃瘻」を付けざるを得なくなり、自由に動くどころか、ベッドから離れることもできず「こんなことなら手術なんかしなければよかった」と後悔する人も多い。>
「穴を空けて」は、「穴を開けて」が日本語として正しい表記だ。やっつけ仕事はやめていただきたい。
それはともかく、胃瘻を作ったことが原因でベッドから離れることもできないというのは医学的にありえない。おなかに穴を開けてそこから胃に流動食を流しこめるようにしたのが胃瘻だが、その穴は小さいもので、使わないときはフタをしておける。

だから体力さえ許せば、穴にフタをしてどこへでも行くことができる。
これは胃瘻のある人や家族に聞けばすぐわかることで、週刊現代はそうした聞き込み取材をしていないのではないだろうか。

週刊現代のウソ③生活習慣病薬は飲んだら一生やめられなくなる⇒体質改善して血圧や血糖値、コレステロールが十分に下がれば薬はやめられる。病気のリスクを承知していれば、最悪、薬をやめることも仕方ない

 

週刊現代の特集では、繰り返し「生活習慣病薬は飲んだら一生やめられない。だから飲むな」と言うが、これは大うそだ。
血圧が高い人が降圧剤を飲み始めたからといっても、その人が減塩・減量、禁煙などの体質改善をして血圧が十分に下がれば、降圧剤をやめることだってできる。というか体質改善して血圧が下がったのに降圧剤を飲んだら血圧が下がりすぎてしまう。

努力して体質改善して薬を減らしたりやめたりできたひとは何人もいる。取材すればわかることなのだ。

 

週刊現代のウソ④シャレにならない匿名証言⇒ほんとに取材しているのか??

 

7月9日号p.56に、シャレにならない匿名証言が載っている。
<都内の大学病院の心臓外科医が語る。

「手術のときに血が止まらなくて困る患者さんが時々いる。そういう人はたいてい血液サラサラの薬を飲み過ぎているのです。場合によっては命にかかわることもあります」>
記者はこのコメントがいたく気に入っているようで、7月2日号p.172-173でも使いまわしている。
<都内の大学病院の心臓外科医が語る。
「手術中、なかなか血が止まらなくて苦労することがあります。そういう患者さんは後で聞いてみると、複数の抗血小板薬を併用していることが多い。血液はサラサラであるだけいいというのは迷信です」>(原文は文字サイズは同じ)

この部分を読んだ医者は100%、「ありえない」と言うだろう。
手術の前にその患者さんがどんな薬を飲んでいるかを把握し、「血液をサラサラにする薬」を飲んでいれば前もって中止しておくのは常識中の常識、初歩の初歩だ。
血液サラサラの薬を飲んでいないか確かめずに手術することは絶対にない。これだけは断言できる。知らないまま手術なんかしたら、大出血のリスクがあり、不必要に患者さんの命を危険にさらすことになるからだ。
後で聞いてみると、複数の抗血小板薬を併用していることが多い」、だって!?心臓外科の手術の前に内服薬を把握しておらず、「手術中、なかなか血が止まらなくて苦労した」「後で聞いたら抗血小板薬飲んでた」なんていう外科医がいたら、先輩の医者に縛り首、外科界から永久追放にされるに違いない。
この発言、ほんとに「都内の大学病院の心臓外科医」のものなのか。ホンモノならば証明してほしいものだ。

週刊現代のウソ⑤薬の効能の多くはプラシーボ効果によるもの⇒プラシーボ効果を差し引いても有効なものだけが薬として認められている

今週号では、イギリス人の科学ジャーナリストにこんなことを言わせている。
<「薬の効能の多くは、プラシーボ効果によるものです。信じて飲めば効くし、信じなければ効きません。薬自体はそれほど効いてはいない。医者も内心ではそのことがわかっており、『飲んだ人の半分に効果が出ればいい』と処方しています」>(p.193)
大丈夫か、イギリス人。EU離脱してる場合なのか。ホメオパシッてていいのか。

「イワシの頭も信心から」の言葉の通り、「効く」と思いこんで飲むと小麦粉でも効くことがある。

だから、新薬を開発するときには、プラシーボ効果を差し引いてもさらに効果がある場合のみ薬として認可される。

そんなこともしらないで科学ジャーナリストを名乗っていていいのか。

 

週刊現代ウオッチャーとしては、こんなに簡単に見破られるようなウソをつかれても物足りない。正直言って、第5弾ともなると内容の使い回しも酷い。
超一流中年エグゼクティブ雑誌、日本を代表するクオリティマガジンとして、週刊現代のさらなる奮起を期待したい。

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