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読書感想文が終わらない子のための読書感想文の書き方

小学生のある夏、ぼくは目に涙を浮かべて読書感想文を書いていた。

本に感動したからではない。書き始めたのが9月1日の朝だったからだ。

始業式開始まで残り1時間余り。泣きべそを書きながらでもやるしかないではないか。

どうしてあんなに締め切りギリギリまで引っ張ったのか今となってはわからないが、仕事も宿題も大切なのはただ一点、「終わらせること」だ。「Done is better than perfect」(ザッカーバーグ)というくらいだ。

 

少々小知恵がついた今、あの夏の自分に読書感想文の書き方をアドバイスするとしたらこうなる。

 

その1。埋めるべきは規定文字数ー198マス

規定文字数が400字詰原稿用紙2枚だったとすると、埋めるべきは約1枚半。

最後の原稿用紙の半分以上埋まっていれば提出した際なんとか格好がつく。

「原稿用紙2枚」の課題なら800マス―198マス(「。」が行の頭に来ることはないため空白になるのは199マスではなく198マス)=602マス、「原稿用紙3枚」の課題なら1200マスー198マス=1002マスを埋めれば完成だ。

1行目は題名(『○○を読んで』とでもしておけばよい)、2行目は氏名を書き、3行目は1行空けにしておけば、20文字×3行=60文字文のマス目は消費できる。

残り542マスまたは942マスだ。

 

その2。文章は「本を開く前」「本を開いている間」「本を閉じた後」に分けろ~まずは「本を開く前」

 

残り542マスまたは942マスを大きく3パートに分ける。面倒くさい仕事は小分けしてやっつけるのが鉄則だ。

まずは「本を開く前」のパートだ。

課題図書の題名をじっと見つめて、題名だけから内容を想像して書く。

何も想像できなければそのまま想像できないと書く。文字数を稼ぐために極力ひらがなと「ですます調」で書き、改行しまくるのもポイントだ。

例えばこんな感じになる。

 

 

 『古い医術について』を読んで

                     1ねん1くみ たかはしひろかつ

 

 ぼくはヒポクラテスというひとの『古い医術について』という本をよみました。

 本を読むまえ、ぼくは『古い医術』ってなんだろうと思いました。

 本を書いたヒポクラテスはむかしの人なのに、そのむかしの人が「古い医術」なんていのはほんとうにふしぎだと思いました。

 それから「医術」ってなんだろうと思いました。「い学」じゃなくて「い術」というだい名にしたのはどうしてだろうと一生けんめいかんがえたけれど、よくわかりませんでした。

 

その3。「本を開いている間」

次に、課題図書をテキトーに開く。建前上、課題図書はきちんと全部読んでいることとする。

テキトーに開くと言っても、たいていの本は後半に盛り上がりが来るようになっているから後ろの方を開くとよい。

そしたらぱっと目についたところを引用する。できるだけ長めの部分がよい。

ただ単に書き写すだけでは先生に文句を言われるから、なにか理由も必要だ。

例えばこんな感じになる。

 

 

ぼくがこの本のなかで一ばんすきなのは、<さて、わたしの主張はこうである。医術とは、人間とはなにであるか、どんな原因によって生じるのか、その他のことをくわしく知ることである>というところです。

どうしてこのぶぶんが一ばんすきかというと、にんげんとはなにであるか、というのはとてもたいせつなことだからです。でもすごいむかしにそれに気づいたヒポクラテスはほんとうにすごいと思いました。

 

その4。「本を閉じた後」

読書感想文を書かせる側の人間、つまり先生たちというのは、読書をすることによって子供が立派な人間になるという建前を持っている。

読書感想文で求められているのは「本との出会いによってその子が人間的に一歩成長すること」だ。

読み手の期待がそこにあるので、書き手としては「本を閉じた後」にどのような変化が自分に起こったかを書いてあげたほうがおさまりがよい。

実際に変化が起こったかどうかはともかく、「この本を読んでこうなりました」というパートがないと、おさまりのよい読書感想文にはならない。

例えばこんな感じになる。

 

この本をよんで、ぼくはヒポクラテスはほんとうにすごいと思いました。

こんなむかしにいろいろなことをかんがえて本にしたのはすごいです。

ぼくもいつかヒポクラテスのようなおとなになりたいと思います。

 

「本を開いている間」か「本を閉じた後」のパートで、本の内容のまとめ的なことも書かなければいけないが、その場合、「いろいろなこと」で済ましてしまうのがよい。

地球上の全ての文章は、究極的には全て8文字に要約できる。すなわち「いろいろあった。」だ(清水義範『国語入試問題必勝法』講談社文庫より)。

 

その5。それでも文字数が埋まらないときにはアンケートをとる

それでも文字数が足りない場合には、悩んでいても仕方がないので周りの人に話を聞いてそれを書いて内容を水増しすればいい。古人曰く、足りない頭なら知恵を盗みゃいい。おりおりおりおー。

例えばこんな感じになる。

 

 

みなさんこんにちは。1年1組のたかはしです。

夏休みも終わってしまいましたがお元気ですか?

お元気といえば医術(笑)、みなさんはヒポクラテスって人、ご存じですか?

古代ギリシアの人で、なんと「医学の父」とか「医聖」とかって呼ばれるくらいとってもえらーい人なのです。

「医聖」といえば異性(笑)、というわけで、さっそくキラメキ女子3人にヒポクラテスについてアンケートを取ってみました!

その結果、なんと、女子の6割以上がヒポクラテスを知ってると言う驚きの結果が!!アンケートの内容を見てみましょう!
(略)

いかがでしたか?

この夏、キラメキ女子のハートをがっちりキャッチするために、ヒポクラテスを読んでみてもいいかもしれませんね。それではっ!

 

健闘を祈る。

 

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