今こそ考えたいエロマンガと表現の問題

<人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。>

週刊文春のコラム<みうらじゅん 人生エロエロ>はいつもこうして始まる。

人生の残りの3分の1でゆるキャラを事業化したり仏像大使を務めたりしているのだから、みうらじゅんというのはすごい人である。

 

先日、思わぬ時にエロマンガの現物(の写真)を見てびっくりした。思っていたよりもずっと美しい。

エロマンガのことを知ったのは小学校高学年か中学校のときだろうか。そのころはエロマンガという文字を見ただけで誰もがコーフン状態で、いつの日かホンモノのエロマンガを見るんだなんて意気込んでいたが、実際にエロマンガの現物を見ることができた者はほとんどいないんじゃないだろうか。
だって遠いんだもの、エロマンガ

エロマンガはオーストラリアの横にある島で、人口は約2000人ほど。バヌアツ最大の島である。
つづりはErromangoで、最近では「エロマンゴ」とか「イロマンゴ」と表現されることが多いようだ。

なにやらエロティックでコミカルな響きなので、古来より日本の悪ガキ・アホ男子に大人気の島名である。

 

こうした、日本語で表現されると面白く響く外国の地名や人名というのはたくさんある。

エロマンガに続いて有名なのはスケベニンゲン。オランダのビーチである。インドネシアキンタマーニ高原も有名だし、チェコにはフルチーンという町もある。今回の調査で知ったが、アメリカ・ミシガン州にはボインシティという街があって、そこにはボイン川という川が流れている。

下品な話題と腹を立てるかたにはニュージーランド旅行をお勧めする。そこにはオカタイナ湖があなたを待ち受けている。

逆に日本語の地名などが他国の人々にとって可笑しく聞こえる例もある。
最近有名なのは「近畿大学」で、英語話者にとっては「kinky univ.=奇妙な、変態な大学」と聞こえることがあるとか。
Kさんからは「関東平野」も結構ヤバいという情報が寄せられた。平野は「hair」だそうで、さらに前半部が特別ヤバいらしい。
遠藤周作はフランスに留学しているときに食事中、「日本語ではムシューをなんといいますか?」と話題を振られて、「“閣下”といいます」と答えて子どもたちの爆笑を買ったという。フランス語でカカは排泄物の事を指す。「長靴下のピッピ」は大丈夫かなー。
スワヒリ語圏にいけば「熊本」は大変卑猥な言葉になるし、イタリア人料理人に日本では「カツオ」で出汁を取ると板前さんが説明したら大爆笑されたとイタリア語通訳・田丸公実子氏のエッセイにあった。

世界中に、他国語だと卑猥な言葉やののしり言葉の地名や人名があふれているのは偶然だろうか。いや決してそんなことはない、必然なのだ、と指摘したのはロシア語通訳でエッセイストの故・米原万里氏である。
卑猥な言葉、侮蔑の言葉というのは、現在は文化的に抑制されているだけで、もともと生殖にかかわる身体的部位や排泄物に関わる言葉が多い。

生殖・性的行動・排泄というのは人間の生存にとって必須・根本的なことだ。

そうした人間の生存にとって必須で根本的、基本的なことやものの名前というのは、どの言語においても相当原初のころから誕生する。

言語の原初のころに誕生する言葉は、シンプルで短い音節の、多少話し手や聞き手が不正確に発音しても意味が成立する音になる。

シンプルで短くて、多少ゆらいで発音されてもそのものやことが想起されるような表現が生殖・性的行動・排泄に関わる単語として成立し、それがいつからか卑猥・侮蔑の表現に変わって行く。

シンプルで短い音のつながりというのは、他文化・他言語でも容易に見つけることが出来るから、変な外国の地名や人名というのは見つかりやすいのである。
もっとも、単純に面白いからみなが競って見つけるし、聞いた方も記憶に残りやすいというのももちろんあるであろう。

それでは下記URLよりハフィントンポスト特集<世界の「変な地名」 スケヴェニンゲンからアフォヴァッカまで>をお楽しみください!
(本日の表題は『今こそ考えたいエロマンガ島と表現の問題』の間違いでした。謹んでおわび申し上げます)

http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/13/world-strange-place-name_n_7575506.html?ncid=engmodushpmg00000003

 

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