酒飲みがどんなに酔っぱらっていてもきちんと家に帰る理由(R)

えー、昔から『酒は百薬の長』なんて申しまして、上手につきあえばこれほど結構なものはございません。
話ははずむ、つまみはおいしい。一人でちびちびと飲むお酒なんてものもまた、オツなものでございますな。
つきあいかたを間違えるとこれはまた大変なものでございまして、『百薬の長』ならぬ『百厄の長』なんて具合になってしまいます。

 

お酒飲みというのはまあ不思議なものでございまして、どういうわけかみんなどんなに酔っぱらっていてもキチンと家に帰ります。
ふらふらしながらもどうにかこうにか自分の家にたどりつきまして、記憶がなくなってもちゃーんと自分の布団で寝ている。
小難しい言い方をすれば『帰巣本能』なんて言いますんでしょうか、どんなに酔っぱらっていても自分の巣に帰っていくんですな。

 

あれはまあどういうわけかっていうと昔から不思議に思っていたんでございますが、最近ふと気がついた。
どうやら酔っぱらって『帰巣本能』が働くような人たちだけが子孫を残して来られたんじゃないだろうかってことでございます。

 

人間の進化の過程ってえものにおきまして、おそらくってえと酔っぱらって山に登りたくなるような『登山本能』や酔っぱらうと海に飛び込みたくなるような『ダイブ本能』をお持ちの方ってえのもいらっしゃるんでしょうが、そうした人たちってのはどっかでやらかしてしまって、よっぱらって山や海から帰れなくなって歴史から抹殺されてしまった。そうするとそうした『登山本能』や『ダイブ本能』をお持ちのかたの遺伝子ってえのは残されません。


かつていらっしゃった様々な『本能』の遺伝子はこうやって淘汰され、酔っぱらったあとモーローとなりながらも自分の巣に帰りつく『帰巣本能』をお持ちの酔っぱらいの方々が、子子孫孫と生き残ってきた次第じゃあないでしょうか。

 

落語の世界でもそうしたお酒好き&『帰巣本能』の遺伝子をお持ちの人の話ってえのはあるもので…

 

ただいまっ、今帰りました。うい~酔っぱらっちゃった…
(以下『親子酒』)
(FB 2015年8月29日を再掲)

 

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