3分診療でどこまでできるか6『スマホを活用する』

3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。

 

筆者の専門分野の一つに不随意運動(ふずいいうんどう)という症状がある。自分が意識していないのに手や足が勝手に動いてしまうという症状だ。
不随意運動にもいろんな症状があって、常に症状が出ているものや、症状が発作的・断続的でまれにしか出ないものもある。
後者の場合だと診察中に症状が出ないこともあり、そんな場合には患者さんに言葉で様子を説明してもらうしかない。そう、今までは。

「症状が出るとこんな感じなんです」
ある患者さんが取り出したのはスマホ。ご自身で撮影した動画を再生していただくと、画面の中にはまさに手の不随意運動の症状が。百聞は一見に如かず、一目瞭然であった。
こんなふうに、時々しか起こらない症状の場合にはいっそのことスマホで撮って医者に見せてしまえば話が早い。
夜中から明け方だけ起こる咳の発作、寝ている間のいびきの様子、睡眠時の無呼吸の状態などなど、家でしか出てこない症状なら迷わずスマホで撮影して医者に見せてしまう。親御さんなら子供の咳やぜいぜいいう呼吸の様子とか。言葉でどう説明してよいかと悩むよりスマホで撮影して見せれば、たとえ3分診療であったとしても簡潔で雄弁に情報を医者に伝えられるのである。
動画以外にも、吐いたものの中に血が混じっていたとか、皮膚に発疹が出来たとか、なんでもかんでもスマホで撮ってみせてしまえばよい。皮膚の発疹の場合などは連日スマホで写真に撮っておけば、だんだん悪くなっているかあるいはよくなっているか自分の記録にもなるのだ。

3分診療時代、スマホも是非ご活用ください。