2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

3分診療でどこまでできるか24『けいれん発作を起こしている人と出会ったら』

3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。けいれん発作を起こしている人と出会ったら、口の中にタオルをつっこんだり、ハシをかませたりしては絶対にいけない。窒息の危険があるのだ。 hirokatz.hateblo.jp ではどうしたらよいか…

3分診療でどこまでできるか23『けいれんのときにタオルかませちゃダメ、ぜったい』

3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。 奈良県で、暴れる女性を警察が取り押さえるときにタオルをかませ、窒息してしまった事件が起こった。 mainichi.jp 詳しい経過はわからないのでこの件についてはコメントできない。しかし…

武蔵野とK先生、そしてパンのこと(R)

武蔵野を通るといつも切ない想いにとらわれる。 別に初恋の人がいたとかそんな話ではない。 K先生の家があるのだ。 K先生は軍事思想や戦略の研究家で、何度かご自宅にお邪魔した。こじんまりとした家には1階にも2階にも本がいっぱいで、ところせましと積…

3分診療でどこまでできるか22『眠れない?ならばスマホを』

3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。 日本人の6-10%は不眠に悩んでいて、20人に一人は睡眠薬を飲んでいるという。 一言で不眠といってもさまざまなタイプがあって、なかなか寝付けない入眠障害、眠りの浅い熟眠障害、…

赤ん坊が次々と流れてくる川と、その上流(R)

「川沿いの道をさ、歩いているとするじゃない」パパ育児界の大立て者、ロックな兄貴のAさんが言う。2008年の夏のことである。 川、ですか。 少子化問題についての調査でAさんのもとを訪れた僕とOは、生煮えの返事を返す。「川沿いの道を歩いているとね、上流…

ベビーカーに冷たい社会は、車椅子にも冷たい。

現在子育て中の我が家は、ベビーカーで外出することも多い。 大人ひとりでふらふら歩くときと比べ、ベビーカーを押しながらだと見えるものも変わってくる。 この道はでこぼこが多いなとか、電柱とごみ置き場の間がせまくて通りにくいなとか。一番気をつかう…

3分診療でどこまでできるか21『<インフルエンザワクチン、WHO「感染予防効果は期待できない」>の真実』

3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。ネット上には日々、さまざまな情報が流通する。 そのなかには眉唾ものの情報も少なくないが、一度広まったいい加減な情報は、読んだ人の心にしっかりと刻み込まれてしまう。結構ね、いい…

イノベーションとしての恵方巻き(R)

もうすぐ節分。2014年に書いたものを再掲です。もうすぐ節分ということで、恵方巻きについて考えてみたい。 この恵方巻き、ぼくが子供のころには少なくとも関東にはなかった風習だが、ここ十数年で急速に全国にひろまった。 一説には、お歳暮とお正月のあと…

マスコミの医療情報をどう読むかー3つの限界について(R)

ネットリテラシーにからめて、2013年に書いたものを再掲。2015年に日経新聞がフィナンシャル・タイムズを買収したので、書いたときと今とはちょっと事情が違いますが。日経新聞、やるなー。ネット情報とのつきあいかたはぜひ拙著3分診療時代の長生きできる受…

3分診療でどこまでできるか20『「死亡率50%!?ロキソニン頭痛薬の衝撃の事実とは…」の真実 2-薬は、量も大事』

3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。ここ数日、ネット上に「ロキソニン頭痛薬は死亡率50%!?」という記事が出回っている。 飲んだだけで死亡率50%なら、それはすでに薬ではなく毒だ。 題名で人目をひき本文を読ませる「釣…

3分診療でどこまでできるか19『 「死亡率50%!? ロキソニン頭痛薬の衝撃の事実とは…」の真実ーネットの「釣り」記事の見分け方』

3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。本間正人先生に教えていただいたのだが、ここ数日ネットで<ロキソニン頭痛薬は以前に劇薬指定されていた薬。実は死亡率が50%の恐ろしい薬だ>というまとめ記事が出回っている。死亡率50…

3分診療でどこまでできるか18『薬の副作用を防ぐ方法』

3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。 医者が薬を出すときに聞かれる言葉の一つが、「その薬、副作用はありませんか」だ。 たぶんその医者が真面目な医者であればあるほど困ってしまうと思う。副作用がゼロの薬はないからだ。…

さらに死生観について考える(R)

先日、「死を語る夕べ」という集まりに参加した。ごく少人数で催された真面目な語らいであったが辛気くさいものではなく、鉄板焼をつつきながらのフリートークである。ビールおいしゅうございました、鉄板焼おいしゅうございました。 幸吉か。 かの孔子です…

適切な医療費っていくら?

本日、松下政経塾の塾生の方々向けに医療制度の講義をさせていただいた。 医療制度を論じるときには「3つのP」を考えよ、という。すなわち、Patient(患者), Provider(医療提供者), Payer(支払者)である(シンガポールでご活躍されているN先生から教わ…

真の成長戦略とは-METSELAプロジェクトの提唱 3(R)

死生観の話、やっと出てきます。 もとのレポートはこちら↓ www.mskj.or.jp METSELAプロジェクト-その究極の目標 METSELAプロジェクトの短期的~長期的な取り組みにより、おそらく日本人の寿命、しかも健康寿命は少しずつだが相当に延びていく可能性がある。…

真の成長戦略とは―METSELAプロジェクトの提唱 2(R)

2010年6月に書いたものを再掲。中国の「一人っ子」政策が撤回されたりして、年月の移り変わりを感じます。 もとの原稿はこちらです↓ www.mskj.or.jp 日本は危機をどう乗り越えてきたか 少子高齢化は日本の大きな危機である。この危機を我が国はどう乗り越え…

真の成長戦略とは―METSELAプロジェクトの提唱  1(R)

*2010年に書いたものを再掲。長いので分割して載せます。 もとはこちら↓ 真の成長戦略とは―METSELAプロジェクトの提唱(塾生レポート) | 松下政経塾 真の成長戦略とは 2009年12月30日、「新成長戦略(基本方針)」が閣議決定された(1)。この中で、政府は、今…

医師と死生観

去る1月8日、千葉県松戸市にて「松戸の医療環境と賢い診療の受け方」という講演をさせていただいた。参加者の皆様はとても熱心で、こちらも熱が入りました。ご参加くださった皆様、およびくださった山中けいじ松戸市議、ありがとうございます 前半は拙著『3…

トークライブ動画最終章ー年齢によるもの忘れと認知症はどう違う?-

トークライブ動画最終章です。 年齢によるもの忘れと認知症はどう違う?薬とのつきあいかたって?「問題行動」がこじれるときは? youtu.be

トークライブ動画第7弾!アップしました。

『私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活』著者樋口直美さんとのトークライブ動画第7弾、アップしました! <昨日の医学は教科書の中に、明日の医学は目の前の患者さんの中に> 患者さん自らが病気について語るとき、そこには医者が真摯に学ぶ…

「家族が認知症かもしれないけれど、病院に行きたがりません」ー入口問題について(R)

「家族が認知症かもしれないんだけど、どうしても病院に行きたがりません。どうしたらいいでしょう?」 先日パネリストとして参加した長寿社会シンポジウムで出た質問だ。 認知症の診療に携わっているので、こうした質問を受けることはよくある。認知症には…

見せかけの成長から豊かな成熟へ あるいはGDPからGDEへのギアチェンジ

日本人一人あたりのGDP、国内総生産額は現在3万ドル台となってしまった。 ecodb.net アジアトップのシンガポールが5万6000ドル余りということを考えると、この差を縮め逆転するのは容易いことではない。 生産性を上げるとか投資を増やすとか爆買観光客をさら…

1月8日19時より、松戸にて地域医療について講演します(お申込み受付中)

1月8日(金)19時より、松戸で地域医療について講演いたします。主催は山中けいじ松戸市議です。若干お席に余裕がありますので、ご興味のあるかたは下記ご覧くださいませ。 k-ji.jp

ニュース「頭の中の言葉を脳波で解読ー九州工業大」に思う。

1月4日付西日本新聞web版によれば、九州工業大学のグループが脳波の変化を使って頭の中に描いた言葉を推測することに成功したという。おそらくBMI、ブレイン・マシン・インターフェースと呼ばれる分野の一つで、将来的には単純な言葉だけでなく考えているこ…

トークライブ動画第6弾!

トークライブ動画第6弾、アップしました!○○を食べると健康になる?!&認知症患者さんご自身がどんな思いで出版に至ったのか? youtu.be

3分診療でどこまでできるか17『救急車を呼んでから病院に着くまでの時間を少しでも短縮する方法』

3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。 急病のときに119番通報をすると救急車が来てくれる。しかしそのあと医療機関にたどり着くまで、実はかなりの地域差があることはあまり意識されていない。 hirokatz.hateblo.jp 119番して…

自分の病気の情報をどう集めるか?スムーズにセカンドオピニオンなどを求めるには?-トークライブ動画第5弾、アップしました!

自分の病気の情報をどう集めるか?スムーズにセカンドオピニオンなどを求めるには? 『私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活』著者、樋口直美さんと語り合いました。その模様を映したトークライブ動画第5弾、アップしました! www.youtube.com

3分診療でどこまでできるか16『風邪の予防はマスクと手洗い―日本人はいつからマスクをし始めたのか?』

3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。「予防は治療に勝る」と言ったのは長野県佐久市で農村医療を確立した若月俊一先生だが、これは永遠の真理だ。病気になってからどんなにがんばって治療しても、予防には絶対にかなわない。…