村上春樹氏は長編小説を書く時、1日の執筆量を原稿用紙10枚と決め、調子が悪くても10枚は書くようにしているという(①)。そして調子が良い日もまた、原稿用紙10枚ほどで切り上げ、それ以上書き続けることはしないそうだ。 ラッパーのエミネムもまた、レコー…
【人はなぜ働き過ぎ、ツイ廃となり、そして肉を焼くか】人はなぜ時に働き過ぎ、Twitterをやり過ぎ、そしてBBQで肉を焼くのか。そこに共通の行動原理はあるのだろうか。その答えは、「反響への欲求」だ、たぶん。 精神科医、神谷美恵子氏は、人間の心には「反…
ジョージアの議員が コーラの蓋を指で弾いて開けたとき メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている オハイオの父親が ほほえみながらバーベキューの肉を焼くとき トーキョーの漫画家は 米国の軍人がヤキニクをするマンガをアップする この地球では いつも…
AIにも「不気味の谷(uncanny valley)」現象が起こるのかを考えている。Wikipediaによれば、不気味の谷現象とはロボット工学者の森政弘氏が1970年に提唱した概念で、ロボットの姿形や動きなどが人間に似てくるにつれて好感や親近感は増加するが、ある一点を…
ある夜、友人Cが言った。「どうせ人生は死ぬまで悩んで迷うんだ。だからさ、どうせだったら“良い迷い方”をしたいよな」 “良い迷い方”か。それはいいな。ぼくは胡椒の効いた、外国のクラフトビールを頼んだ。バーのカウンターにはウフマヨとポテトフライが並…
2026年3月末、XではAI自動翻訳機能が本格稼働した。その後ここ2週間ほど、毎日が発見の連続だ。数日前は絵文字の効用を体感した。 近代絵文字の発祥地の一つは日本だ。ケータイ文化や2ちゃんねるのアスキーアートの存在は欠かせない。絵文字はおそらく同時発…
インターネット、特にXで繰り返し語られる話題の一つに「40歳を越えると人は狂う」という話がある。本当かどうかは別として、もし本当ならなぜか。 40歳を越えると人が狂い始めるのは、物語を喪失するからだ。 アイヌの言葉に、「役目なしに天から降ろされ…
1993年の夏、ウランバートルのバヤンゴルホテルのテレビではMTVが流れていて、そこではアメリカンポップソングで水着姿の女性達が踊っていた。 外国人向けのホテルだったけど、こういうのはモンゴル人の伝統的な価値観にどのような影響を与えるのだろうかと…
かつて世界で一番幸福な国と言われたこともあるデンマークの、オーデンセの街角で老人はぼくにこんなことを言った。 「幸せというのはね。それだけでは成り立たないものなんだ。悲しみとか傷ついた気持ちとかそういったものと一緒でないと、幸福は存在できな…
思春期、20代〜30代のクォーターライフクライシス、40代〜50代のミッドライフクライシス、60代以降の高齢者うつ。人生はまさに危機の連続である。古代中国にはこうした危機の連続の人生を言い表したことわざがある。師いわく、「私、人生の危機。こっちは気…
「先生、認知症にちょんまげ(仮)が効くってほんと?」。テレビで健康番組が放送された翌日、必ずこんなことを患者さんから聞かれる。(注.2014年に書いた文です) 「昨日、芸人さんの番組でどこかの大学の教授が言っていたけど、ちょんまげ(仮)する…
生活が思考を作り、思考が生活を作る。たとえば死生観。 伊佐敷隆弘氏によれば、「人間は死んだらどうなるか」について、人類が出した答えは6つしかない。すなわち、 〈1 他の人間や動物に生まれ変わる2 別の世界で永遠に生き続ける3 すぐそばで子孫を見守る…
Tポイントにdポイント、PontaポイントにJREポイント。 世の中にはポイントと名のつくものが無数にある。 率直に言ってそういうポイントを貯めるのは楽しいことだがあるとき怖くなった。 「今ここで自分が死んだら、貯まったポイントはどうなるのだろう?」 …
答えの出ない問いを持つ。そんなことを先日友人Oと話し合ってみた。 浮世を生きていると、答えをすぐ出さなきゃいけない問題が次から次へと襲い掛かってくる。昼ごはん何にしようかとか、発車間際の電車に飛び乗るか次のを待つかとかいったささいなことから…
SNSというものは非常に中毒性が高く、相当に危険なものだ。 そんな危険なSNS依存を脱却するために有効な方法が一つある。 句集を読むのだ。 歌集や詩集、警句集でもよい。 SNS依存の理由の一つは活字中毒で、昔だったら食事中にジャムのビンを手に取り原材料…
趣味としての語学学習、というものを考えている。 ここに1人の男がいるとする。 たとえば彼が、ギター教室に通うと言ったらどう思うか。 「へー、いいんじゃないの。楽しんでね」と言うんじゃないだろうか。 決して、「今からギター習ってもモノになんの?ギ…
〈学生は 短距離走で ポスドクはマラソンだから 夜は帰るよ〉生化学者で歌人の永田紅氏の短歌だ(三枝昂之『百年の短歌』新潮選書 2025年 p.49) 維持可能、持続可能な働き方、生き方というものを考えている。なにしろ人生100年時代、100歳まで生きて「しま…
「ヨーロッパの人にとって服っていうのは」ファッション業界に身を置いている友人Aが言った。 「ヨーロッパの人にとって服っていうのは、一次産業の産物みたいな感覚があるみたいなんだな。その土地で取れる素材を使ってできる産物というのが服、みたいな感…
「身にはならないがネタにはなる」。友人の口から、名言が飛び出した。加齢とともに感性は磨滅する。日に日に興味関心が無くなり、無への一直線をひた走る。芸能人の誰がどうしようと興味は無いし、流行り廃りも関心が湧かない。今年個人的に興味関心が無く…
時間と意志力。ほかには何もない。究極的に死守すべきものはその二つだけで、それは何故かというと有限資源だからだ。 1日は24時間で、週に直せば168時間。それに365日をかけたものが1年の持ち時間で、クックもベゾスもマーも孫さんもそれは同じ。だがその同…
求不得苦(ぐふとっく)、得られないものを求めてしまうことからくる苦しみとはこういうことか。 かつて漫画「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」(渋谷直角著 扶桑社 2013年)を読んで、生きるエネルギーを吸い取られつつそ…
最近歳下の医学生と話す機会を得た。彼らが口々に言うのは、「将来なに科医になるのがいいか迷ってて。AIとかもあるし、逆に手技のある外科とかのほうが生き残りやすいのかなって」だ。 医学生というのは、6、7年の大学時代に全ての科を学ぶ。医学生時代には…
「原因と結果。因と果で因果。仏教では、因と果のほかに“縁”というのもありましてね。因と果の間に“縁”があると考えます」とある僧侶から聞いた。 その話を聞いたときは、「縁とか言い出したらなんでもありやんけ」と思った。仏罰が当たるといけないから黙っ…
「医者の仕事の良いところはね」ロードスターの助手席で、そのひとは言った。「ウソをつかなくてよいところ」そのひとは何歳か年上だったはずだ。 「ほら、営業とかの仕事だと、時には会社の利益のためにお客さんにウソをつかなければならないこともあるでし…
「無線の線」という言葉が、美術の世界にはあるという。 〈「引かれた線だけが線ではない。線を引かない線があるのだ。それを究めないと引いた線も線でなくなると小林古径先生がいっておられました(略)」〉(平山郁夫、前田常作『デッサン入門』新潮社一九…
ここ10年くらい意識してやめたことがある。「2ステップの関係性」の人と何かしようとすること、「2ステップの関係性」の人とために何かしようとすることをやめた。 「2ステップの関係性」はぼくの造語だ。友人知人、家族に知り合い。直接自分が関わりのある…
「今半分、先半分」。今のことだけ考えていてもダメ、先のことだけ考えていてもダメ。今のことを半分くらい考え、先のことも半分くらい考えて生きる。それが大事なのではないか。 「今半分、先半分」という言葉は、認知症の母を遠距離介護している男性の言葉…
「終活」というものがあるならば、「中活」というものもあるのではないか。そんなことを考えた。 wikipediaによると、自分の人生の終末に向けていろいろと整理をする「終活」という言葉が考えられたのは2009年だという。その年の週刊朝日で終活の特集記事が…
未来予測というのは当てるためにあるのではない。未来に目を凝らすためにあるのだ。 スターバックスの元CEOハワード・シュルツがこんなことを書いている。〈スターバックスが、東京、松屋銀座の角を曲がってすぐのところに日本第1号店をオープンしたのは、19…