インターネットには世界中の情報が溢れているが、それでも現地の情報にはかなわない。 そうした現地情報を入手するウラの方法を、大前研一氏が書いている。 大前研一氏は、講演などで新しい土地に行くときにはまずはじめに現地の不動産屋に立ち寄るという。…
「…おお……枯葉舞う秋の日差しの中…一人の少女が花束を手に歩いてゆく…友人の家を訪ねてゆくのだろうか…落ち葉を踏みしめて歩く少女…これは、その少女の靴底についた腐葉土の匂い…これがテロワール…」 「さすが名ソムリエ。合格じゃ」 ワインの評価というのは…
人は人にアドバイスする。 善意からも、悪意からも。 〈この世で、病人に浴びせかけられる忠告ほど、虚ろで空しいものはない。それに答えて病人が何を言っても無駄なのである。というのは、これら忠告者たちの望むところは、病人の状態について本当のところ…
ビッグ・マウンテンにインナー・サークル、UB40。タップしたスマホから、90年代が流れる。ブルートゥースでカーステレオへ飛ばす。 動画の森で出会った90年代UKラヴァーズ・ロックが車の中を満たす。 サード・ワールド、シャギー。 どこらへんまでUKラヴァー…
衰退する社会には「虚無」の影が忍び寄る。 欧州社会が取り憑かれている「虚無」とどう対峙するかが、ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』のテーマだった。 衰退する個人にもまた、虚無は忍び寄る。 人生後半戦は、虚無との闘いだ。 では果たして、衰退す…
人生ゲームは過酷だ。 多くの人の人生ゲームは、前半と後半でガラッとルールが変わる。予告されることもなく。 人生の前半と後半は、ルールが全く違う。アメフトと編み物くらい違う。 ある種の人々は、人生の前半では「特別」であることを求め、あるいは求め…
半可通ほどみっともないものはない。だがまあ、ドヤ顔して人に押し付けなければ罪も軽いだろう。 この夏発見したライフハックに、「平日昼間、一番はじめから寄席に行く」というものがある。これはいい。 何がいいかというと、“自由”。 なんとかホールとかで…
「ほかの家族に聞かせたいんで、診察の時に録音させてください」と言われることがある。 基本的には了承しているが、これだけAIとかで音声編集とかできるようになると録音データをもとに暴言だろうが虚偽の説明だろうが偽造できてしまうだろうから、これから…
非常に興味深い話を聞きかじった。 学校の「国語」という教科は、「あなたが何を感じるかどう感じるか」ではなく「他人が何を感じるかどう感じるか」を問う教科だ、という見方だ。 それが正しいか否かの判断はお任せする。 ここでの「他人」というのは「世間…
ネットを見ていると定期的に経営者とは、みたいな話題が出る。 確かに「雇われ」と「オーナー経営者」では見えているものが全然違う。社会の解像度が段違い。裸眼のケント・デリカットとサンコンさんくらい見えるものが違いすぎる。 特に駆け出しの時が顕著…
昨日N君とした話。 なんつーかさ、ええ歳になると痛感するんすよ、能力1割・環境9割って。 すっごい頭よくて出来る人とかでも、家族の事情とか本人の病気とかそういう環境の要素のために100%能力を発揮しきれないまま沈んでいく人がたくさんいる。本人はさ、…
長く読みつがれる名作というのは、しばしば多面的なのだろう。 名作は、読む人の立場や人生のステージによってそれぞれ違う顔を見せてくれる。 山崎豊子『白い巨塔』を学生の時に読んだ際には、単純に財前先生=悪い医者、里見先生=素晴らしい医者と読んだ…
北海道新幹線に飛び乗ってまず考えた。 なぜトッポとじゃがりことワッフルなのか。 トッポとじゃがりことワッフルに恨みはない。うまい食べ物だと思う。 だが数あるお菓子などの中で、売り上げナンバーワンではないのではないか。にもかかわらず長年、新幹線…
仕事や勉強で一番めんどくさいのはいつか。間違いなく取りかかる時、そして再開する時である。 「君らね、勉強するとき“キリのいいとこ”までやるでしょ。あれ間違いなんだ。 勉強してたら、わざと“キリの悪いとこ ”でやめるの。 “キリのいいとこ”まで勉強し…
2024年の都知事選挙では、女性のほぼ全裸のポスターが貼られるという珍事があった。 結局都知事選の全裸ポスターは剥がされることになったようだけど、選挙で元力士の人が立候補して「どすこい!国政に張り手!」とか、とにかく明るい安村氏が「安心してくだ…
学生のスポーツってなんのためにやるんだろうかと考えたことがある。 スポーツというのはやっている限り必ず負ける。 さだまさし的な言い方をすれば、甲子園だって3000幾つの参加チームの中で一度も負けないですむのはただの一校だけだ。 そのほかのチー…
「ものごとは静止画で見るな、動画でみよ」 敬愛するH先生の教えだ。 2024年5月末現在のここ数日、タイムラインは学校健診の話題でもちきりだ。 婉曲にいえば男性医師が女子生徒の診察をする際に脱衣させるのはいかがなものか、というのが論点だと思う。 さ…
終末期医療について考えていたらこんな言葉を掘り起こした。 〈老いて、死んでいく。医者には何の手だてもありません。医学の遅れとか医療技術の未発達とは、これはまったく別の問題です。 言い換えれば、生き抜いたということじゃないか。治す、治るの問題…
昔見たリアリティショー。誰か動画持ってませんか? 英ヴァージングループの後継者を探すという企画で、(多分だけど)世界中から我こそは、っていう若者を集めるんですよね。 それで総帥リチャード・ブランソンにみんなで面会するぞって言って、空港に迎え…
「雑誌の取材で地方に行くときにはね、手土産は東京の老舗のものがいい。 “お宝発見”みたいな企画で、地方の名家とか名士さんとかのところに行って、蔵の奥に眠ってる“お宝”を撮影させてもらったりするんだよ。うまいこと機嫌取って写真撮らせてもらわなきゃ…
時間と意志力を死守せよ。なぜならそれらは究極の有限資源だから。 現代人が一歩外に出れば、無数の人やモノやコトがあなたの時間と意志力を奪いにくる。家庭を持つ者であれば、家の中でも同様だ。古人曰く、〈三十歳を過ぎれば、君の生活は妻子のものになる…
「まず調査して、その地域の特色となる食材を見つけます。そして、地域のいろいろなお店にその食材を活かした料理を考案してもらう。 それでここからが重要なんだけど、必ず試食会をやるんですね。 地域のおばさまやお母さんたちなんかを招いてそれぞれの料…
『インベスターZ』という漫画の1シーン、「つまらん映画は冒頭で出て損切り」の話がTwitterで話題だ。 創作論の専門家でもないし成功の方程式は無数にあるのが前提。 映画とネット動画、あるいは講演会と文章の違いは何か。強制性だ。 映画や講演会では、基…
多くの政治家は、一番最初はたった1人で駅前や街角に立ち、誰も聞いていなくても演説を始める。 作家や評論家だって、一冊一冊、自分で自分の本を売る“手売り”から始める人もいる。 綾小路きみまろだって、自分の漫談を吹き込んだテープを持って高速道路のパ…
「ほしいものが、ほしいわ。」 糸井重里氏の名コピーである。 「欲望の枯渇」。 ここ数年のテーマだ。 加齢に伴い(現実を直視するのは大事だ)、欲しいものは無くなり、やりたいことも無くなった。食べたいものも飲みたいものも無くなり、ただただスマホの…
今年になってようやく花見の意味がわかった。何十年も、「花など眺めて何になる。どうせ皆花など見てはいない」と思ってきた。 コロナ禍と加齢を経て唐突に花見の意味がわかった。あれは「桜浴(さくらよく)」「生命浴(せいめいよく)」なのだ。 暗くて寒…
SNSは承認欲求を肥大させ、そして同時に承認欲求をやせ細らせる。 SNSが承認欲求を肥大化させる問題は、しばしば指摘されてきた。 SNSでの承認が欲しいばかりに人はバイト先でアイスケースに横たわって写真をアップしたり飲食店での問題行動を動画に上げたり…
早朝から大炎上している例のサイトを見てきた。 「納税Pay導入のお知らせ」という歳入省のエイプリル・フールネタのことだ。 確かにあれはやり過ぎだと思う。 炎上でサーバーが落ちたりしてるといけないので簡単に説明する。 歳入省のサイトに飛ぶといきなり…
よくよく考えるとよくわからなくなってる言葉というのがある。 「写真はイメージです」という注意書きとか。 今日も施設を退所した患者さんのカルテに「ホームから帰宅」「今後ショートステイをロングで利用。ロング・ショート」と書きながら、「オレはいっ…
通訳と医者は似ている。 とめどなく与えられる日常言語ベースの情報の山から本質的な情報をピックアップし、他国語や医学用語に変換する。 ギリシア語で通訳は「hermenuties」というそうで、これは神々と人間との交信、いわば神々言語と人間言語の通訳を担っ…