2020-01-01から1年間の記事一覧
『人新世の「資本論」』(斎藤幸平著)をあえて批判的に読むという試みをしている。 同書では地球温暖化という人類の危機に対する処方箋として、「潤沢なコミュニズム」を掲げている。 同書の掲げる「潤沢なコミュニズム」による地球温暖化阻止の高きハード…
いま話題の書『人新世の「資本論」』(斎藤幸平著 集英社新書)をあえて批判的に読むという試みをしている。なにもクリスマスにそんな無粋なことをしなくてもよいとは思うが、なにしろ宗教は阿片だからこれでいいのだ。よーしパパ、革命的情熱を持って論じち…
一生に1回は観るべきだが、2回観るのはしんどいという映画がある。『楢山節考』もその一つだ。Kさん、勧めていただきありがとうございました。 話題の書『人新世の「資本論」』(斎藤幸平 集英社新書)を読んでから、『楢山節考』が頭の中でリフレインされ…
12月13日(日曜)は中條医院で日曜診療を行いました。 日記風にお送りします。 【朝7時30分】 本日は日曜診療の当番日なので自分にログインボーナスを。 うちのクリニックのある船橋市では、医師会所属の医療機関に医師会本部での夜間診療当番とはまた別…
「フィジカル」と「マテリアル」ということについて考えている。答えはまだない。 『鬼滅の刃』の最終巻、紙の本がものすごく売れている。これだけオンライン化、デジタル化が進む中でこれはどういうことだろうか。一説には家族で回し読みするために紙の本を…
敗れた事実は変わらない。 問題なのは、敗れたあとに学ばないことである。 コロナのはじめのころ、本間 正人先生から一冊の本を勧められた。 山本七平著『日本はなぜ敗れるのか-敗因21ヶ条』(角川oneテーマ21 二〇〇四年。原文は1975〜1976年)。日本がなぜ…
1916年8月24日に、夏目漱石はこう書いた。 〈牛になる事はどうしても必要です。われわれはとかく馬になりたがるが、牛にはなかなかなり切れないです。(略) あせっては不可(いけ)ません。頭を悪くしては不可ません。根気ずくでお出でなさい。世の中は根気…
まず最初に申し上げたいのは、これは「べき論」ではなく「好き嫌い」の問題だということだ。少なくともぼくはそう認識している。 「空気」の支配の中で心地よく過ごしたければそうすればよいし、「空気」の支配を嫌うのなら、その対策を取らなければならない…
〈世間とは、いったい何の事でしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。けれども、何しろ、強く、きびしく、こわいもの、とばかり思ってこれまで生きて来たのですが、しかし、堀木にそう言われて、ふと、 「世間と…
『空気が支配する国』(物江潤 新潮新書)を読んでつらつらと。 なぜ我々は「空気」を研究しなければならないか。それは「空気」が我々をわずらわせるからである。 古代ギリシャの賢人エピクロスはこう書いている。 〈かりに天界・気象界の事象にかんする気…
物江潤氏の新著『空気が支配する国』(新潮新書)を読みながら、つれづれなるままに空想を遊ばせている。週末だから脱線する。 山本七平氏による「空気」の発見以降、知識人による「空気」論というのはいくつかある。 物江氏の『空気が支配する国』の独自の…
〈しかし人が人間関係においてのみ初めて人であり、従って人としてはすでにその全体性を、すなわち人間関係を現している、と見てよいならば、人間が人の意に解せられるのもまた正しいのである。だから我々は「よのなか」を意味する人間という言葉が人の意に…
それは2019年4月1日、午前11時50分のことだった。人生ただ一度のことだったのでよく覚えている。生まれて初めて、「空気読んで…」と口にしてしまったのだ。だって、これから新元号が発表されるというので診療所でテレビの前にみんなで釘付けになっていたら、…
「働いている人が幸せでなければ、利用者を幸せにはできない」 10年ほど前にデンマークの高齢者施設で聞いた言葉だ。デンマークではそのころ、介護施設で働く人々の待遇改善を求める社会運動が繰り広げられていたという。 T君、誘ってくれてありがとう。Oさ…
〈我々のもう一人の被験者、リコ・メイデンという名の労働者は、仕事の中でこの感情をしばしば経験した。彼はジュリオと同じ工場のベルトコンベアーでジュリオから少し離れたところで働いている。彼の部署の前を通るユニット〔製品の部分になる部品のまとま…
〈セントラルキッチンを作り、そこから2つの店に下準備を済ませた食材(半加工品)を運ぶようになって気がついたのは、運搬による質の劣化だ。運搬といっても、ほかの2店は、駅を挟んで反対側の商店街と、隣の駅から歩いてすぐの所にあり、セントラルキッチ…
〈サプライヤーの一人が、ある日私にこう言った。「レイ、君はハンバーガービジネスを行っているんじゃない。フライドポテトビジネスだ。何が秘訣かは知らないが、君のところのポテトは、このあたりでは最高だよ。これを求めて客はやってくるんだ」〉(レイ…
食材に旬があるように、話題にも旬がある。 今読んでいる本に興味深い一節があった。トランプ大統領についてのコメントだ。 〈トランプ自身、実業界出身だけあって、労働者の気持ちを理解していると言われる。共和党関係者は「トランプは政治関係者の中で、…
カナダ・ニューブランズウィック州のそのホットドッグ屋は大繁盛していた。そう、彼が帰ってくるまでは。 〈ある日老人の息子が、ハーバード大学で経営学の修士号と経済学の博士号を取得して帰ってくる。息子は父親の経営ぶりを一目見るなり言う。「なんとい…
外食産業からさまざまなことを学びたい、という話をしている。 余計なコンフリクトを避けるため、いくつかの土地にまつわる話をする。新宿、ニューブランズウィック州、門真である。 ぼくのいる医療業界では「経営」とか「利益」とか「生産性」といった言葉…
「タカハシさん、ぼくが前にいた製造業界ではね、工員が1メートル歩いたら経費はいくらになるかまできっちり計算してますよ。それと比べると、医療業界はドンブリ勘定もいいとこですね」。 大阪のとある病院に見学に行ったときに案内してくれた経営企画室の…
「子どもは親に言われたようには育たない。親に育てられたように育つ」 昔聞いたとあるママさん看護師さんの名言である。 実際の発音に忠実に記載すると、「親に育てられたよおぉぉぉぉぉおおうに育つ」となる。「お」の連続した部分に万感の思いが込もる。 …
もし自分が主治医を選ぶとしたら、ナシーム・ニコラス・タレブは言う。 いかにも医者みたいな、〈銀縁のメガネ、すらっとした体格、繊細な手、落ち着いた話し方、上品な身ぶり、整えられた白髪。映画で外科医になりきるとしたら、こういうイメージだ。〉みた…
〈どこにいても そこで生まれた気がしてる〉(久保田利伸『Timeシャワーに射たれて』) Timeシャワーってなんだ、シャワーに「打たれて」じゃなくて「射たれて」なのか痛そうだなとか思うけども、かつて「その土地で暮らすように旅をし、旅をするように暮ら…
「そこがいいんじゃない!」 我が心の師の一人、みうらじゅん氏、いやみうらじゅん師の言葉だ。 憧れの人ボブ・ディランに「彼は定職はないのか?」と心配されるほど多彩な仕事をしているみうら氏いやみうら師も、果たしてこれはウケるのだろうかと不安にな…
『半沢直樹』が最終回となってしまった。非常に堪能したので少々『半沢ロス』気味である。 はじめはいろいろツッコミを入れてたんですけど、途中から細かいことはどうでもよくなりました(笑)。ただひたすら大和田と黒崎を見たい、という欲求が…。もちろん…
「一番ゴージャスなお洒落は、真っ白なTシャツである」。 とある有名なデザイナーの言葉らしい。30年ほど前、朝日新聞の文化欄のコラムか何かで読んだ。デザイナーの名前も覚えているが、ググッても確認できなかったのでデザイナーの名前は書かない。原典を…
積ん読vsトキメキ派の話。 積ん読派の宿敵であるこんまり氏はすでに、世界進出を果たしている。 「KonMari」や「Kondoする」は英語として成立しているそうだし、敵ながらお見事というほかはない。 こんまり氏をスターダムに押し上げたのはネットフリックスの…
去る9月12日土曜日、船橋市の塚田公民館で『パーキンソン病の診断加療とケア』を講演させていただきました。 コロナ対策のため人数を減らしソーシャルディスタンスを保った講演会でした。 小雨の中、お集まりいただいた皆様、ありがとうございました! 3…
〈電子書籍も紙と変わらず、積ん読しまくっている。物理的積ん読は、生活空間に置かれた本の存在によって無言の圧力を感じられるのだけど、電書の場合単なるデータだ。時間が経つにつれて、買ったタイトルも無料のタイトルも等しくリストの一部となって、ク…