積ん読とトキメキと(完結編)

積ん読vsトキメキ派の話。
積ん読派の宿敵であるこんまり氏はすでに、世界進出を果たしている。
「KonMari」や「Kondoする」は英語として成立しているそうだし、敵ながらお見事というほかはない。
 
こんまり氏をスターダムに押し上げたのはネットフリックスの独自番組『Tidying Up with Marie Kondo』で、この番組ではこんまり氏がアメリカの家庭を訪問し、片付け術を伝授する(以下、THE WALL STREET JOURNAL ウェブ版 2019年2月2日 Megumi Fujikawa氏記事に拠る)。
 
この番組はアメリカなどで人気となり、トキメキ信者を爆増させた一方、一部の視聴者に反発を引き起こした。
番組の中で、人々が本を捨てたからである。
 
当然ながらアメリカにも積ん読派はいるわけで、積ん読派や愛書家は、「本まで捨てるのか?!」と反発した(NewSphere 2018年1月8日記事など)。
この騒動はかなり大きかったようで、積ん読派や愛書家にとって、本は単なる物質ではなく、神聖なものであることがわかる。
こんまり氏は別のインタビューで、世界に活動の場を移してよかった点として〈国によって散らかり方の違いも多少あって、子供のおもちゃが他国に比べて多い傾向がある国とか、「本を処分する」ということに大きな抵抗がある国とか、文化によってさまざま。それも世界に出て仕事をしたからこそ気づけた発見したでした〉と語っている(Woman type 2018年4月25日記事)。
本を処分することに大きな抵抗がある国というのはおそらくアメリカを指すのであろう。
世界に出るまで「本を処分することに大きな抵抗」を感じる人々がいることに気づかなかったとは驚きだ、と皮肉の一つも言いたくなるが、アメリカでの積ん読vsトキメキの戦いは、それなりに収束したようだ。
 
こんまり氏が信者に、蔵書は30冊以内にするよう指導しているらしいというデマに対し、こんまり氏は〈(略)「絶対に言ったことはない」と明言。「(こんまりメソッドは)物を少なくするというよりも自分がときめく状態であること、自分がどんな状態なのが一番心地よいのかを知ることが大切なので、物の数に言及したことはない」と語った。〉(前述のWSJ2019年2月2日記事より)という。
Ok,我々積ん読派は、積み上がった本にときめく。自分の好きな本や物に囲まれた空間が一番心地よい。
トキメキ教徒がトキメキを感じ心地よくなる環境とはだいぶ違うが、これは教義の違いだ。
I go my way, You go your way.
積ん読派vsトキメキ、これにて休戦としたい。

  そして戦いは続く…。

 

3分診療時代の長生きできる 受診のコツ45

3分診療時代の長生きできる 受診のコツ45

  • 作者:高橋 宏和
  • 発売日: 2016/02/20
  • メディア: Kindle版