2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

志村けん氏の訃報を聞いて町医者が伝えたいこと。

志村けん氏が亡くなられたとのこと。 医療者とそうじゃない人との認識ギャップがあるのはやむを得ないが、おそらく医療者の感覚では ・「肺炎で人工呼吸器が必要」=命をつなぐことはできる可能性があるが、社会復帰できないくらいの後遺症が残るかもしれな…

プールサイダーとお作法

「プールサイダー」という言葉がある。自分では泳げないのに、プールサイドからプールの中の人の泳ぎをああだこうだと言い、なぜもっとこうしないのかと批判したりする人のことだ。イザヤ・ベンダザンこと山本七平氏が作った言葉で、氏の著書『日本人とユダ…

「グローバリストはそのうち絶滅種になるかもしれない」とブルームバーグ

「グローバリストはそのうち絶滅種になるかもしれない」とブルームバーグ(2020年3月16日配信)。 グローバリズムがよって立つリカードの「比較優位」「自由貿易」の話は、完全雇用を前提とし、各国の発展度のちがいや政治的要素を勘定に入れていない(物理…

医者とバイアスージェローム・グループマン『医者は現場でどう考えるか』より。

ここのところ、バイアスについて考えている。 www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp 人は誰も、バイアスから自由にはなれない。バイアスは、人間が危険を察知し瞬時に判断して行動するために発達したものだ。だからバイアスが常に悪者とは限らないし、もし我々が…

新型コロナ、バイアス、『ファクトフルネス』。

〈(略)瞬時に何かを判断する本能と、ドラマチックな物語を求める本能が、「ドラマチックすぎる世界の見方」と、世界についての誤解を生んでいる。〉(ハンス・ロスリング他『ファクトフルネス』日経BP p.23) バイアスの話。テラスと美食をこよなく愛する…

バイアスから自由になることはとても難しい、という話。

「目の前の模擬患者さんが南極観測隊に行くとして、シミュレーション問診してください。では、はじめ!」ずいぶん前に参加した、医者向けのとあるワークショップでの光景である。誰かを不用意に批判する意図は無いので、少し状況を変えて書く。 ワークショッ…

新型コロナウイルスに関するインチキ情報・嘘・デマや釣り情報に惑わされないために。

新型コロナウイルス騒動で改めて痛感するのが、インチキ情報・嘘情報がこんなにも出回るのか、ということである。 たまたま自分の専門分野だから気付くというのは大きいが、こうしたインチキ情報・嘘情報にだまされないようにするにはどうしたらよいか。 凶…

新型コロナウイルスに対する社会不安を可視化するため「マスク指数/マスク・インデックス」を提案する。

新型コロナウイルスが怖くないとは言わないが、新型コロナウイルスに対する社会不安のほうがもっと怖い。社会不安が強ければ消費が冷え込み経済は縮小し人心が乱れる。社会不安が強いか弱いかを可視化するため「マスクindex」というのを考えてみた。 通勤電…

新型コロナウイルスに対する言説を5つに分類・整理して考える。

新型コロナウイルスに関し、さまざまな言説が飛びかっている。頭を整理するために、いくつかに分けて考える必要がある。複雑な事情は単純なものに切り分けて扱え、というのはデカルト以来の鉄則だ。 新型コロナウイルスに関して①一人の個人についての医学的…