新型コロナウイルスに関するインチキ情報・嘘・デマや釣り情報に惑わされないために。

新型コロナウイルス騒動で改めて痛感するのが、インチキ情報・嘘情報がこんなにも出回るのか、ということである。

たまたま自分の専門分野だから気付くというのは大きいが、こうしたインチキ情報・嘘情報にだまされないようにするにはどうしたらよいか。

 

凶刃に倒れたネットウオッチャーのHagex氏は、著書『ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い』(アスキー新書 2014年)でインチキ情報やデマ、創作話ー「釣り」ーの見破りかたをこう書いている。
<この文章がすべて本当だったらどうなのかというチェック方法ーすべての文章は「真実」だと思って読んでいこう>(上掲書 p.69-71)。

 

怪しい情報・怪しい文章は、人目を引くことを優先して作られているため、文章内の情報すべてを「真実」として丹念に読んでいくと矛盾やほころびに気づくことができる。もともとがいい加減な情報を寄せ集めて作られている文章では、文章内で整合性がとれていないのだ。
だから、怪しげな文章に書かれたことすべてをいったん「真実」として読んでいくことで、自分の専門分野でなくてもその文章がおかしいと気付くことができる、というのがHagex流である(*)。

 

今回の新型コロナウイルス騒動の中で見られているデマ、釣り情報として
・新型コロナウイルスは生物兵器(デマ)
・新型コロナウイルスの検査をしないように政府が医療機関に圧力をかけている(デマ)
・大病院では自前で(新型コロナウイルスの)PCR検査を隠れてやっている(デマ)
・新型コロナウイルスは27~28度のお湯で死ぬ(デマ)
というのがある。

 

Hagex氏流の読み方をしてみる。
「新型コロナウイルスが生物兵器(デマ)」が本当ならば、殺傷能力があまりに低すぎる。
「新型コロナウイルスの検査をしないように政府が医療機関に圧力をかけている(デマ)」が本当ならば、検査が必要な医療機関は、アメリカかどこか海外に検査を発注しているはずだ。
「大病院では隠れて新型コロナのPCR検査をやっている(デマ)」が本当ならば、こんなにPCR!PCR!と希望している人がたくさんいるのだから、どこかの病院で大々的に「当院ではご希望のかたにPCR検査やってます!特価〇〇万円!出血大サービス!」とかやりだすだろう。
「新型コロナウイルスが27~28度のお湯で死ぬ(デマ)」が本当ならば、27~28度のお湯よりも温度の高い37度前後の体温でイチコロのはずだ。

 

非常に残念ながら、これからも次々とインチキ情報・デマ・釣り情報は流通すると思う。
そうしたインチキ情報・デマ・釣り情報に出くわしたときは、どうか一歩立ち止まって、「もしこの情報が本当だったら、どんなことが起こるだろう?そこに矛盾はないか?」と読んでいただき、あわてて拡散することなどないようにしていただければ幸いである。

 

*この段落のみ、2016年11月22日自ブログ『ネットウォッチャーと読む週刊ポスト <「塩分を減らせば血圧下がる」はやっぱり間違いだった>はやっぱり間違いだったー医療情報リテラシーの鍛え方①』のコピペ)

 

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