「サラダ油が認知症の原因だが、業界の圧力により隠ぺいされている」というデマをHagex流に検証する。

「サラダ油が認知症の原因ってホントですか?T教授が動画で言ってました。サラダ油が認知症の原因なんだけど、スポンサーの圧力があるから、テレビでは言えないし、国もサラダ油業界をつぶせないってT先生が言ってました」
そんなことを患者さんに聞かれた。
先に言っておくと、これはデマであろう。少なくともサラダ油業界の圧力があって国が業界をつぶせないというのは明白なウソだ。

 

ネットを中心にはびこるデマは無数にあるが、シンプルな見分け方というのがある。
もし本当にその話が真実であったなら、何が起こるかを想像してみるというものだ。凶刃に倒れたネットウォッチャーのHagex氏が提唱した方法だ。

 

 

「サラダ油が認知症の原因だが、サラダ油業界の圧力によって隠ぺいされている」というデマについてHagex流に検証してみる。

2020年3月4日配信の食品新聞ニュースによれば、家庭用食品油全体の業界規模は1500億円程度。これはオリーブオイルやアマニ油も含む。
https://shokuhin.net/29256/2020/03/04/kakou/yushi/%e9%a3%9f%e7%94%a8%e6%b2%b9/


対して、2014年時点での我が国の認知症に対する医療費は1兆9114億円、介護費用は6兆4441億円だという(佐渡ら「わが国における認知症の経済的影響に関する研研究」https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201418007A

より)。
経済的負担が全てではないにせよ、2014年時点で認知症により8兆円以上の医療介護費用負担が社会に対して生じている。
常識的に考えて、1500億円規模の業界を保護するために8兆円以上の「損失」が見逃されるだろうか。

 

「教授」という肩書きを利用し、社会を惑わせる言説を垂れ流しているT氏は非常に問題であるなあ。承認欲求が高すぎるのであろう。

「大学教授」という肩書きがあるからといって、主張してることを全て鵜呑みにすると身の破滅を招く。
K大学医学部助教授の肩書きで長年に渡り「がんもどき」を売るK氏の例もあるし、ライナス・ポーリングなんか2回もノーベル賞もらっておきながら『ビタミン・バイブル』とか書いて人心を惑わせてるしなあ。ラーメン大学とかパチンコ大学とかの教授ポスト空いてないかなあ。

 

閑話休題。
本来ならばきちんと実名を出して批判すべきところだが、批判検証のためにT氏の動画を見てみたら、独善的・断定的な物言いに胸焼けがして最後まで見るのを断念してしまった。
まあ放っておいてもこうしたデマ動画は、そのうち火がついて大炎上するだろう。油の話だけに。

 

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