2019-01-01から1年間の記事一覧
<癌の末期患者に関するシンポジウムかなにかだったと思うが、国立がんセンターのH教授が発言した言葉だけを覚えている。 ある末期患者が「がんばって」と言われる度に苦痛の表情をしているのに気づき、痛み止めの注射をした後「私も後から旅立ちますから」…
<親子の関係については、『かもめのジョナサン』という世界的ベストセラーを書いたリチャード・バックという作家も面白いことを言っていました。 彼とは対談をしたのですが、あれこれ話をしているうちに、何の気なしに「あなた、お子さんいるの?」と訊いた…
悪魔の誘惑(笑) 宝くじの最も正しい買い方をさっき発見した。発売されたらすぐ買うのである。買う枚数はどうでもいいが、買う場所はどこまで効果を期待するかによる。 宝くじを最も正しく買う理由は、最も正しく使うためだ。では宝くじの最も正しい使い方…
ギョーカクにミンカツ。カタカナで書くとなんとなくB級グルメっぽいが、行革と民活と書く。行革、行政改革と民活、民間活力の略で、中曽根政権のころよく言われたスローガンである。 〈中曽根は当時、第一次答申の理念に関して、「フリードマン式の自由主義…
〈二〇〇三年十月二十三日午前九時十五分。約束の時間どおりに小泉純一郎総裁が、私の執務室の入り口にあらわれました。(略)彼の言葉を待ちますが、やはり小泉君は私を見ようとしない。ようやく目を合わさぬまま、口を開きました。「中曽根先生は、国内的…
中曽根康弘氏の話をもう少し。 〈(ゴルフの順番待ちの時)中曽根さんは(略)、隣にSPを座らせて、しゃべりかけるんです。「このSPをやる前は、君、今までどういう仕事をしてきた?」なんか訊いている。SPが、「自分は白バイに乗ってまして」と答えると、「…
「我々の時代には、『こうした日本にしないと!』というものがあった。首相公選制であるとか。いま、そうした若い者の力が摩滅しているという危機感を持っています。心ある者が日本全国に三々五々散って、先導者とならねばならない。 …思想家が少なくなって…
「総理になる一年くらい前から官房長官の目星はつけていて、後藤田(正晴)さんは私に忠告できる人物ですし、内務省の3年先輩で、しかも真ん中より左ということでお願いした。私は真ん中より右ですから」中曽根氏はそう答えた。サブリーダー、自分の右腕はど…
「縁を結び、縁を尊び、縁に従う。結縁、尊縁、随縁と、手帳の最後のページに40数年間、書いてきた。人間関係は、縁でスタートする。夫婦、親子、学校の縁…。森羅万象は、縁で出来ているわけです。人間全部が作り上げている縁が重なり合って、文化になってい…
「子どもの頃、カナリアを飼っていてね、そのカナリアを両手で包んだことがある。小鳥はだいぶ弱っていて、私の手の中で震えている。その手の中の震えるカナリアのぬくもりをね、今でもよく覚えています」よく伸びた背筋で、老政治家はそう言った。 故・中曽…
ひとまずライフワークの話のまとめ。 〈生きているということいま生きているということそれはミニスカートそれはプラネタリウムそれはヨハン・シュトラウスそれはピカソすべての美しいものに出会うということそしてかくされた悪を注意深くこばむこと 生きて…
しつこくしつこくライフワークの話。 〈二一世紀には、人間は不死を目指して真剣に努力する見込みが高い。〉(ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』河出書房新社2018年 p.33)同書によればグーグルなどの大企業が「死を解決すること」を使命とするスター…
しつこくライフワークの話。 唐突だが、「カレーの早川くん」をご存知だろうか。おそらく知らない方のほうが多いと思う。アラフォー、アラフィフホイホイなB級グルメ漫画『めしばな刑事タチバナ』(坂戸佐兵衛・作、旅井とり・画 徳間書店)の超脇役である。…
ライフワークの話。 アメリカのビジネス有名人、『ザッポス』CEOのトニー・シェイはビジネス・ネットワークづくりのためのイベントが嫌いだという。日本だと名刺交換会みたいな、ビジネスチャンスを得るためのイベントは極力出ないらしい。その上で、トニー…
ライフワークを持つといいんじゃないかという話。 中年クライシス、ミドルエイジクライシスというものがある。人生の中年期や、現役引退期に襲ってくるもので、突如として「いったい自分は今まで何をしてきたのだろう」「自分がやりたかったことっていったい…
〈こころよく 我にはたらく仕事あれそれを仕遂げて 死なむと思う〉(石川啄木) 死ぬ気もないし死にたいとも思わないが、仕事にもいろいろある。生きる糧を得るための仕事や行きがかり上やらざるを得ない仕事もあれば、生きていく気力を与えてくれる仕事もあ…
「ぼくね、人間にはライフワークとライスワークがあると思うんですよね。人生を通して取り組むのがライフワーク。んで、ごはんを食べるためにやるのがライスワーク。ダジャレですけど。あと、好きだからやるっていうライクワークもあるかな。ライフワークと…
「患者さんが診察室に入ってきて椅子に座る。そのときの歩き方で、もう診断がつくようじゃないとね」F先生が言った。 例えばパーキンソン病の患者さんでは、猫背気味で歩幅は小さく、腕の振りも目立たない。あるいは脳梗塞の患者さんなら、片方の脚を引きず…
起こってはならないことは、往々にして起こる。 日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業 医療安全情報 No.128 2017年7月」によれば、2010年12月から2017年5月の期間に、「手術部位の左右の取り違え」の事例は26件報告されている。「1件の重大事故の背…
文科相の「身の丈」発言。 みんなが「身の丈」のままだったら世の中現状維持で経済発展もしない。昨日より今日、今日より明日を良くしたい、今の「身の丈」を越えていこうとするからこそ、少しずつ世の中が発展する。それを手助けするのが国であり公教育なは…
〈人間、やはり一人では生きていけないのだろう。たった一人で生きていける人もいるが、大半の人は、家族がいて、友達がいて、そこでやっと自分の道に向かう梯子を上り始めることができるのではないかと思う。以前父が、「年配の人はな、若い奴が夢に向かっ…
引く医者引かぬ医者の話。 「患者さんを主力としたチーム医療」とは何かを語る前に、非常に残念な事実を話さなければならない。前提として、ぼく自身は軽症慢性期比較的ご高齢の患者さんの外来診療を生業としていて、限られた地域の限られた範囲の患者さんを…
引く医者引かぬ医者の話。 医療業界のスラングで「引く医者」と言えば、受け持ち患者さんがなぜだか次から次へと重症化していく医者のことを言う。「引く」原因には複数の要因があり、スーパーナチュラルな部分もあるかもしれないが、人智の及ぶ範囲で「引か…
引く医者と引かぬ医者の話。 担当した患者さんが片端から重症化したり、アクシデントが多発したりする状態を、医者のスラングで「引く」という。若い間、十分なバックアップとフィードバックのもとで「引く」のは悪くない。多くの経験、とくにトラブルシュー…
ユニクロの柳井正氏の記事が話題だ。https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00357/?n_cid=nbponb_fbbn&fbclid=IwAR2b3Hr0YDXmARsBBCPUUoNc5upsiNQT2l-aKqiIwwSZgk3aFhGtP2N7vHU 危機感はおおいに共有するけれど、対応として「国の歳出を半分にして…
“引かぬ”医者になるための話のための超長い前フリ。 ルネ・デカルトは『方法序説』Discours de la methodeの中で、物を考えるにあたり4つのルールを自らに課した。1.明証性の尊重2.問題の分割3.単純性の尊重4.網羅的列挙である。 デカルト『方法序説』から安…
“引かぬ”医者になるための話。 賛否もあるだろうし、誤解も生むだろうから、慎重かつ丁寧に書く。 〈「経験を積んだ医者ってのは、病気しか見ないものなんだ。おれはまだ、病人が見えるんだよ、君」〉(バルザック『ゴリオ爺さん』新潮文庫 平成十八年三十四…
グレタ・ティンベリ氏の話。 本来、非常にシンプルな話である。ただし、いくつかのprincipleをおさえていれば、の話だが。principleのない議論は迷走しぐるぐると同じところを回り続ける。 principle1.いったん公開された言論のリングに上がったならば、批判…
医者には“引く”医者と“引かぬ”医者がいる。若いうちは“引く”医者のほうがよいが、ある程度の年代になっても“引く”医者である場合は、何か改善点があるかもしれない。 ある程度の年代になって、“引かぬ”医者であることを選択した。今まで若いころ“引いた”経験…
“引く”医者と“引かぬ”医者がいる、という話を先日書いた。 大前提として、医者の職業人生の初期には“引く”医者であることが望ましいとぼく自身は思っている。医者という職業もまた、経験が持つ意味は大きい。若い時期に“引く”医者であることは、膨大な経験を…