2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

積ん読とトキメキと(その3)

積ん読vsトキメキの話。 積ん読は今や国際語だ。Wikipedia英語版にはちゃんと「tsundoku」の項があるし、2018年にはイギリスBBCで「tsundoku/積ん読」の特集が組まれた(*)。 「積ん読」を一躍世界に広めた功績者の筆頭はもちろんエラ・フランシス・サンダ…

積ん読とトキメキと(その2)

就いてみたい職がある。図書館の住み込み管理人だ。 〈(略)(留学から)帰ってくると上智大学の講師になり、志願して図書館の住込み宿直員になった。図書館のまだ空いているところに私の本を置いてもらい、同じ建物の中の夜警宿直者用の小部屋に住まわせて…

積ん読とトキメキと(その1)

いま積ん読界は、危機に瀕している。 言うまでもなく、こんまりのせいである。 大ヒット『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版 2011年)で、こんまりこと近藤麻理恵氏はこんなことを書いている。 〈そもそも本というのは、紙です。紙に文字が印刷…

Be here now.

…カロリーオーバー?そうかな?そうかもしれない。いやきっとそうだろう。だがな、考えてもみろよ。これからの一生、こんなにも美味しくアイスキャンディーを食べられる日が、あと何日ある?蒸し暑い夏の夕方。空は晴れている。これから星も出るだろう。もっ…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その11)

夏の終わりに『9勝6敗』考。 友人Tから教えてもらった色川武大氏の『うらおもて人生録』(新潮文庫)、特にその中の『9勝6敗』戦略についてつらつら考えた夏であった。ほんとは「なんだかんだで15回に渡り書いてきた。うまく書けた話もそうでない話もあった…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その11)

夏の終わりに『9勝6敗』考。 友人Tから教えてもらった色川武大氏の『うらおもて人生録』(新潮文庫)、特にその中の『9勝6敗』戦略についてつらつら考えた夏であった。ほんとは「なんだかんだで15回に渡り書いてきた。うまく書けた話もそうでない話もあった…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その10)

気力が尽きるまで『9勝6敗』戦略の話。 勝ち逃げが許されない賭場で勝ち逃げするための一手法として、プロの博徒はその晩の「勝ちライン」を宣言しその場の空気を支配するという。「今日の俺の目標は百万円。百万円勝ったら上がっちゃうよ」と宣言することで…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その9)

夏休み明けに「9勝6敗」戦略の話。この話の中で最も「目からウロコ」だったところです。 さて、すでに見たとおり、賭場というのは勝ち逃げを許さぬ場所である。そんな勝ち逃げを許さぬ賭場で、博徒はいかにして勝ち逃げるのか。先に掲げた安倍譲二氏の書いた…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その8)

相変わらず『9勝6敗』戦略について考えている。 「これはね、下座行(げざぎょう)なんだよ」一心不乱に壁を磨きながら、その人は言った。 街の一角をキレイにする会(仮)みたいなところに参加させてもらったことがある。ぼくの誤解や浅薄な理解で迷惑をか…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その7)

しつこくしつこく『9勝6敗』戦略の話。 「あいつさあ、許せないよな。当選初回で俺より当選回数少ないくせに、いつも俺より先にエレベーター乗るんだぜ」とあるベテラン議員の人がぼそっと言った。人間にはそういうところが、ある。 勝ち抜けを許さない賭場…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その6)

しつこく『9勝6敗』戦略の話。勝ち逃げを許さない賭場からおそらく勝ち越して生還した色川氏はどんなことを言っているか。 いわく、〈だませ。そして、だまされろ。〉(前掲書p.208)〈(略)もう少しべつのいいかただと、(人に)利用されろ。そのかわり、…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その5)

色川武大氏の『9勝6敗』戦略について考えている。 www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp 賭場で若い頃をしのぎ切って生還した色川武大氏が到達したのが全戦全勝ではなくコンスタントに9勝6敗を狙う戦略だ。大前提となる「賭場で…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その4)

色川武大氏の著書『うらおもて人生録』に出てくる『9勝6敗戦略』について考えている。 www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp 15戦15勝を無限に続けていくのは無理だ、むしろ恐れるべきはあえて9勝6敗を狙いにきている人で、こういう人はなかなか…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その3)

色川武大氏の『9勝6敗戦略』について考えている。 www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp 話の前提には、人間というものは、ほうっておくとだいたい勝ちと負けが同じくらいに均衡、収斂しプラマイゼロになる、という認識がある。勝ち星ばかりの人もいるじゃないか…