2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

子であることの苦しさ、親であることのほろ苦さ

〈「とてもいいストーリーじゃないか」少年の父親は言った。「どんなにいい出来か、自分でわかってるかい?」 「お母さんがパパに送りつけたのは心外だったよ、ぼく」 (略) 「しかし、おまえがあの小説で書いたカモメについてはどこで知った?」 「パパか…

親子という”業”-『孟子』と『毒になる親』

〈(略)「舜が歴山で耕作していた時、田んぼに行っては天を仰いで号泣したと聞きます。どうして号泣したのでしょうか」。 孟子が答えた。「親に愛されないことをうらめしく残念に思い、また親を思い慕ったのだ」。 (略) 『自分は力を尽くして田んぼを耕し…

妓夫太郎と『ナナメの夕暮れ』

〈いつもの散歩コースの神社の階段を降りて大通りに出た。 すると、頭にすっぽりと黒いフードをかぶった暗い目をした男とすれ違った。 一瞬目があったけど、世界への恨みを募らせたような目つきが怖くて思わず目を背けた。 もう少し目を合わせている時間が長…

生きることの天才、逝くことの達人(文学作品編)

生きることの天才や達人もいれば、逝くことの天才や達人もいる。文学作品の中にも、そうした逝きかたの天才や達人がいる。 〈(略)臨終だといっても、友人や親戚の者は喜ぶでもなければ、悲しむでもない、いや、かんじんの死んでゆく当人さえもが、その未練…

水槽の金魚と大海の深海魚~『鶏口牛後を考える』の続き。

先日マックでJKが(注)。 「なんか進路で迷っちゃってー。超アッタマいーA大学にギリで入るのと、まあまあのB大学行ってヨユーでトップでいくのとどっちがいいかなーって」 「超わかるー。なんかまわり超アタマいいと、その中で深海魚みたいに落ちこぼれる…