2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

白い円楽・黒い円楽ー歌丸さん『笑点』引退(R改)

歌丸さんが『笑点』を引退するとのことで、2013年のものを再掲。 人は誰も、心に二人の円楽(先代)が潜んでいる。すなわち、ブラック円楽とホワイト円楽。ブラック円楽は悪の化身で「山田くん、座布団全部とっちゃいなさい」とささやき周囲を貶める。それに…

電子カルテ考(R改)

国の方針で電子カルテが推進されて15年近くなる。病院ごとに電子カルテは違って、転勤してしばらくは新しい電子カルテに慣れるのに時間がかかったりして悩ましい。 開発メーカーは10社以上あり、最大手は富士通で、2015年度シェアは34%だそうだ。 電子カル…

難聴があっても補聴器をしたがらない高齢者が多いのはなぜか(R改)

日々の診療でご高齢の方と接していると、ときどきひどい難聴の方がいる。そうした難聴の方はどういうわけか補聴器があまり好きでなく、何度勧めてもつけようとしない。 診察のなかで年齢を聞いたり物の名前を覚えてもらって後で繰り返してもらったりすること…

3分診療でどこまでできるか29『長引く避難所生活で求められる心のケア-休息と睡眠、6秒で吐き6秒で吸うを朝夕2回、DPAT』

28日で最初の地震から2週間が経つ。 避難所生活が長引く場合、問題になってくるのが心のケアだ。 厚生労働省は東日本大震災を踏まえ、平成23年に「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」を作成した。 http://www.mhlw.go.jp/stf/houd…

80代とクラシックカー(R改)

<青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う。 薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな手足ではなく、たくましい意志、ゆたかな想像力、炎(も)える情熱さす。 青春とは人生の深い泉の清新さをいう。> 詩人サムエル・ウルマンの詩の一節である(サム…

善きことはカタツムリの速さで進む/マハトマ・ガンジー(R)

ふらりと入ったインド料理屋のメニューに「ガンジー・セット 完遂したら無料」なるものを発見。 世界の偉人の名のついたセットならさぞすごい御馳走が出てくるに違いないと思い、ガンジー・セットを注文するが、いつまで経ってもなにも出てこない。おかしい…

40代未熟論ーAERA特集『50歳の新・幸福論』を読んで2

〈江分利は当時33歳になったばかりだ。江分利は残りの人生で何ができるのだろうか。身体は衰えはじめた。才能の限界はもう見えた。山内教授の借金だけでも返済することができるだろうか。夏子に笑いを回復させることができるだろうか。庄助を1人前に育てら…

3分診療でどこまでできるか28『震災発生後10日~14日に胃潰瘍による出血がピークにーリスクを下げるには環境改善、プロトンポンプ阻害薬』

日経メディカルオンライン4月21日配信の記事『要警戒!消化管出血は震災10日後にピーク』をもとに書く。元記事はこちらで、ぜひ直接お読みいただければと思う。 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/eye/201604/546630.html 上記記事によれば、東日本大…

対話について・2(R改)

日本の学びの場には対話が足りない、というテーマについて先日より考え中。 中島義道『<対話>のない社会』(PHP新書)をタネ本に、 1.現状認識→2.背景と理由分析→3.対策編と進んでいきたい。今のところ1の真ん中らへんまできたところ。 議論をす…

対話について(R改)

日本の学びの場ー授業や講演、会議などーには、対話が足りないのではないかということについて以前より考えている。 考えてばかりでは前に進まないので、ここでいったん書いてみる。だいたいこんな感じで論を進めていきたい。 1.足りない、対話。 (現状認…

50歳成人説―AERA『50歳の新・幸福論』を読んで。

「あのさあ、俺は50歳になってな、はじめてやっと大人になったって気がしたよ」。 と、その人は言った。彼は年上の知人で、やり手のビジネスマンだ。 50歳になってやっと大人? ぼくは一瞬耳を疑ったが、一方で妙に納得する気がした。 30歳成人説というもの…

致死率100%!?ポテトの衝撃の事実とは・・・(R改)

ポテトの危険性について警鐘を鳴らす、アレ系のアレです。2014年のものを再掲。 ///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// 2014年10月20日付Gigazinニュースによれば、海水で育つジャガイモが開発中…

マツコ・デラックス老後の夢は「100億円マンション」~マツコロイドは遺産相続の夢を見るか/電子後見人AI(改)

2016年3月12日、人工知能AlphaGoが「世界最強の棋士」と呼ばれるイ・セドル9段を打ち負かした。人工知能AIが人間を越えた日としてしばらくの間記憶されていくことになる。AIの発展によってこれから加速度的に人間社会は変わっていく。多くの仕事はAIに奪われ…

ヒラリー・クリントンに捧ぐ。

ヒラリー:どうもーこんばんは、ヒラリーでございます〜。 (会場拍手) ヒラリー:おおきに、おおきに。みなさんようおこしやす。おおきに、おおきに。…お〜い、あんたー、 なにしとん、早う出てきなはれ。 ビル:(悠然と登場)レディース・エンド・ジェントル…

3分診療でどこまでできるか27『災害発生後数日から避難所では風邪や下痢などの感染症が増えるーリスクを下げるためにはマスク・手洗い・うがい・消毒』

熊本地震への対応として内科学会では災害医療に関する情報提供をしている。 その一部、医療支援編(避難所編)は2004年の中越地震の際の経験をもとにかかれている。この資料をもとに述べる。 医療支援編(避難所編) | 災害医療情報 | 日本内科学会災害発生時…

次のアメリカ大統領に捧ぐ(R改)

最近、ぼくは息子にレディーファーストの英才教育中なのだが、これがなかなかうまくいかない。 「レディーファーストね、知ってる知ってる。じゃあね、レディーがあっちでファーストがこっち」などと、まるで若手漫才コンビ「れでぃ〜☆ファースト」のつかみ…

日本内科学会とpepper

国際フォーラムで行われた日本内科学会総会に参加。 日本内科学会は日本の内科医10万6902名(2015年3月現在)が加入している学会だ。 今回の学会で最も思い出深かったのは、ロボットのペッパーがスタッフの一員にいたこと。 ものめずらしさに会場では日本中…

3分診療でどこまでできるか26『災害直後にはたこつぼ型心筋症・肺塞栓などのリスクが1.5~2倍に増えるーリスクを下げるには水分・運動・睡眠』

日本内科学会では、熊本地震への対応として災害医療に関する情報をサイト上で提供している。 【緊急】「平成28年熊本地震」への対応 | 災害医療情報 | 日本内科学会そこで提供された資料に基づき、災害直後にリスクが上がる病気について述べていく。災害直後…

「だから」と「ように」の間(R)

「だから」と「ように」の間には、深くて暗い川がある。 誰も渡れぬ川ならば、渡れぬままにしておくのがよいだろう。 先日、ゾウリムシの繊毛と社会の異端について考えた。ゾウリムシの何百とある繊毛のうち5%ほどの繊毛はてんでに勝手な動きをしていて一…

ショーンK復活のシナリオを考える。

このまま忘れ去られるには惜しい人材である、ショーンK。 ここ数日、ショーンK氏が復活するにはどうしたらよいか考えている。誰に頼まれたわけでもなく、ショーンK氏がしゃべっているところをテレビで観た経験もないのだが。現時点で出来上がったシナリオは…

社会や組織に変わり者が必要なわけ~ゾウリムシの繊毛の話(R)

ここ二十年ばかり、心の片隅にゾウリムシがいる。出典を確認すべく最近やっと取り寄せた上前淳一郎著『読むクスリ 15』(1991年 文藝春秋)にはこんなことが書いてある。 ゾウリムシは草履に似た微生物で、そのまわりには小さく細い毛、繊毛がびっしり生えて…

東北医科薬科大学医学部入学式のニュースに思う(R)

東北医科薬科大医学部の入学式が先日行われたとのことで、2013年に書いたものを再掲 (以下再掲)小学生になって皆でカチャーシー(沖縄の踊り)を踊る夢を見て早めに起床したら、東北などに新しく医学部をつくるのだというニュースを見つけた(2013年10月時)。…

ナゾ処方の謎(R改)

ぼくは自分のしている仕事を愛してやまないし、同業種の見知らぬ先輩・同僚・後輩に最大限の敬意と共感を感じる者であるが、外来で他の病院の薬について患者さんから相談された時など非常にごくまれに「なんでこの患者さんにこの薬が処方されているのか全く…

よく知らないまま論じるAKB48組織論

日本人にウケる「論」には3つある。日本人論、組織論、世代論である。 「日本人とユダヤ人」以来、書店には定期的に日本人論の本が並ぶ。「アメーバ組織論」をはじめとして、強い組織づくりは常に模索されている。「アプレゲール」から「ゆとり世代」「さと…

イソジンが消えた日~イソジンと聞くとコロンビアを思い出す理由

うがい薬、イソジンが消えていた。 正確に言うと、発売元の株式会社 明治のサイトから、「イソジン」の文字が消え、単なる「明治うがい薬」の名前で売られているのである(4月11日現在)。 www.meiji.co.jp 「イソジン」の商標を持つアメリカの会社、ムンデ…

「ラーメン一杯2千円...ニセコ、ほぼ完全に外国化?」(ビジネスジャーナル記事)に思う。

数年前に北海道で、市長さんや地方議員の方々向けに地域医療について講演させていただいた。北海道は札幌以外は慢性的に医師不足で、その関連で講演に呼んでいただいたのだ。その席である議員さんから「ニセコの病院には海外からのスキー客がけがしたりして…

医者が「いつになったらお迎えがくるんでしょうね」と聞かれたら(R)

患者さんから言われて困る言葉に「いつになったらお迎えがくるんでしょうね」というものがある。 「そんなこと言わないで頑張ってくださいよ」と励ますべきなのかもしれないが、 例えば80台も後半の老女で、夫は数十年前に他界し子供もなく、今までひとりで…

80歳以上の人に長生きのコツを聞いてみた。

きっかけは、友人の医師のこんな一言だった。 「80歳以上の患者さんって、なんとなくポジティブな人が多いよね」。 飲んでいるときに出た話だったのでその時はそうだね、たしかにそんな気がすると相づちを打って次の話にうつった。だが、あれから何年も経つ…

日本的会議を考える~「空気」の研究、quaestoとrelectio(R改)

「ねえねえ、“意味”ってどういうこと?」 先日いきなり息子に訊かれて、思わず絶句してしまった。“意味”という言葉の意味を説明するのに“意味”という言葉を使わずに説明しようとすると非常に困難であるということに気付かされたのだ。 「“意味”っていうのは…

子どもたちへ。

現在子育て中であるが、子どもの成長には本当に驚かされる。昨日までただ横になっているだけだったのが寝返りを打てるようになり、ずり這いをするようになり、はいはいができるようになり、いつしかつかまり立ちをするようになる。今まで抱きかかえられるし…