積み上げてゆくこと。

多くの政治家は、一番最初はたった1人で駅前や街角に立ち、誰も聞いていなくても演説を始める。
作家や評論家だって、一冊一冊、自分で自分の本を売る“手売り”から始める人もいる。
綾小路きみまろだって、自分の漫談を吹き込んだテープを持って高速道路のパーキングエリアに行き、観光バスのドライバーに「これ面白いからバスの中で流してみてください!」って頭を下げて一本一本テープを配ってファンを積み上げた。
そういう泥くさいことができる人々と、それを見てただ嘲笑う人がいる。
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「駅頭、辻立ちとかって、“見てるようで見てない、見てないようで見てる”んだ。
毎朝駅に立って挨拶と演説をしてると、出勤に急ぐ人たちは誰も立ち止まったりせずにちらりと横目で見て通り過ぎる。誰も聞いてない。
ここで心を折られずに毎日続けていると、ある時言われるんだな。『毎日駅で立ってますよね。頑張ってください!』。
こうやって1人また1人と、支援者を増やしていくんだ。それしかない」
多くの政治家はみなそんなことを言う。
そういうものなのだろう。