積ん読とトキメキと(その2)

就いてみたい職がある。
図書館の住み込み管理人だ。

 

〈(略)(留学から)帰ってくると上智大学の講師になり、志願して図書館の住込み宿直員になった。図書館のまだ空いているところに私の本を置いてもらい、同じ建物の中の夜警宿直者用の小部屋に住まわせてもらうことになったのである。普通の日は図書館は七時ころまでには閉まる。私は窓がぜんぶしまっているかどうか、三階建ての建物を見廻る。そして鍵をおろす。するとこの建物は私の城となった。正確に言えば、この建物にはもう一つ宿直室があり、若い哲学の研究者が住んでいたから、私たち二人の城となったと言うべきであろう。彼も読書家で議論好きで、しかも音楽に詳しかった。われわれは安物のステレオを廊下に出して、ベートーベンをかけたりした。三階までふき抜けになっている図書館の階段下のホールで、それは壮大な音楽となった。また、考えごとをするときは、真夜中の図書館を一人こつこつと歩くのである。なんという贅沢であったろう。こうして私はプラトン全集を読み、アリストテレスの相当の部分を読んだ。〉(渡部昇一『知的生活の方法』講談社現代新書 昭和51年 p.97-98。括弧内筆者)

 

どうです?いいでしょう。

しまった、積ん読陣営の理論武装がまだであった。
(続く)

 

3分診療時代の長生きできる 受診のコツ45

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