中條医院にCT搭載車が来る理由。

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〈「未来はすでにここにある。ただ、均等に行き渡っていないだけだ」
ウィリアム・ギブスン〉(ダグ・スティーブンス『小売再生』プレジデント社 kindle版2537/3969より孫引き)


過疎地の未来、というのを考えたことがある。
点在する住居、まばらなインフラ。
ひとつの解決策はコンパクトシティ、集約して住む、ということだが、言うは易く行うは難し、転居という私的行動に、税金という公的なものでどこまで支援してよいのかという議論もあるし、「一所懸命」という言葉もあるように、日本人は一般的に土地に対する執着が強い。考える習慣のない人は「そうしたマインドを変えなければいけない」なんていって話を終わらせるんだろうが、ドラッカー先生も「社風を変えようとするのは国民性を変えようとするごとき行為。あきらめろ」とおっしゃるように、社風も国民性もそう簡単には変わらない。
国民にあまねくライフラインを提供する、というのが国家の使命だとするならば、やはりアクセス可能な場所に公的インフラを整備しなければならない。
ただ、過疎地にたくさんの市役所分室や図書館、病院や銀行を作るというのは現実的ではないから、市役所搭載車や図書館搭載車、診療所搭載車、銀行ATM搭載車や郵便局搭載車などを作って、地域ごとに日替わりでぐるぐる巡回させたらどうか、とかつて夢想した。過疎地だから車は止め放題だ。
今日は銀行ATM搭載車、明日は診療所搭載車、明後日は市役所分室搭載車が来る、となれば、過疎地であってもある程度の公的インフラ整備義務は果たせる、というわけだ。

 

9月7日から、中條医院に月1回、CT搭載車に来てもらうことになった。

今回、自分のクリニックでCT搭載車に来てもらうことにしたのも、アイディアの源流には上のようなことがある。
導入・運営コスト的に、常設で自前のCTを設置するのはハードルが高い。コストを回収しようとして必要性の低い検査をバンバンやるのは本末転倒だ。
緊急時はこれまでどおり大きな病院にすぐ行っていただくが、たとえば単純レントゲンで古い肺炎のあとなのか万が一肺がんなのか悩むような患者さんなどは通いなれたクリニックでCT撮れると非常によい。もちろん読影レポートは放射線科医に依頼する。
これからますます高齢化が進むと、できるだけ自宅近くでさまざまな用事を済ませたいというニーズが高まる。高齢になれば車は手放さざるを得なくなり、脚も弱くなるからだ。また、大病院では、患者さんが殺到しすぎて、外来診療は縮小傾向だ。そもそも大病院は、遠いし、ものすごく待つ。
需要と供給のギャップは、誰かが埋めなければならない。
このため、うちのクリニックでは、循環器や消化器、心療内科などの各専門医のドクターに非常勤で来ていただき、専門的な相談に乗っていただいている。また、検査技師の方にも毎週来ていただき、頸動脈や心臓、腹部のエコー検査もしていただいている。
月二回、管理栄養士の方に来てもらって、糖尿病や高血圧などの個別食事指導もしていただき好評だ。10月からはケアマネジャーによる介護福祉個別相談も始める。
そして今日からCT搭載車によるCT検査も可能となった。


未来の医療とはどんなものだろうか、という問いを抱えながら仕事をしている。
いつでもリフレインするのはあの言葉だ。

 

未来を予測する一番良い方法は、自分で未来を作り出してしまうことだ。ーアラン・ケイ

 

それじゃ、良い週末を。

 

 

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