その上司は言った。「お前は会議の時にしゃべるな。宴会の時にはモノを食うな」

「新人の時に上司に言われたんだ。『お前は会議の時にしゃべるな。宴会の時にはモノを食うな』」
友人Oが言った。

 

「はじめは何でそんなこと言われたかわからなかった。
会議の時だって発言したくてウズウズしたし、取り引き先との宴会だって、間が持たないしさ。
でもね、そうやって何ヶ月も会議でしゃべらず、宴会でモノを食わずにお酌だけしてるとさ、見えてくるんだな、『流れ』みたいなものが。

 

会議でも、あ、今あの人がこう言ったことで全体の『流れ』が変わったな、とか、あの人はずっと黙っているけど最後に決断する人はあの人だな、とか。同じような発言でも、発言するタイミングで与えるインパクトが全然違う。

 

宴会だって、モノを食っちゃいけないから間が持たない。間が持たないから取り引き先とかを観察してると、やっぱり見えてくる。
あの人のグラスが空いたとかだけじゃなくて、あの人は今退屈そうだなとか、あの人楽しそうだけど周りが見えてないなとか。

 

そうやって上司に命じられたまま会議で発言せず宴会でもモノを食わずにいて『流れ』が見えるようになったころ、上司に言われたんだ。
『おいO、もう会議で発言していいぞ。宴会でモノも食っていい』」。

 

学生時代から物怖じせずアクティブなOは、ビジネス修行時代に『流れ』を『見る』ことを学んだ。
上司は上司で、Oの変化や成長を、じっと『見て』いたのだろう。
どこにでも、修行の場というのはあるものである。

 

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