森氏の辞任を受けてちきりん氏がこんなツイートをした。
何度考えてもおかしいと思うので批判しておきたい。
近代国家は、個人の内面まで土足で踏み込まないものです。 森氏の思想信条や言動が公人としてふさわしくないからといって、中国共産党みたいに教育キャンプ入れるなんてアイディアには、恐怖しか感じません。
これは本能的な恐怖で、「総括せよ」「自己批判せよ」「徹底的に自己批判せよ」の連合赤軍がどう終結したか知っていれば、『1984年』とか『時計仕掛けのオレンジ』とか山本直樹の『レッド』とかの作品に触れていれば、こんな発言は出てこないと思うんですよ。
発言と発言者は切り分けて論じるべきではありますが、「生産性」至上主義の行き着く先はここかと暗たんたる気分になりました。
ちきりん氏にこの批判は届かないだろうし、届いても「何が悪いの?」と思うだけでしょう。 「いいね!」もたくさんついているし。 SNS時代、地獄への道はインフルエンサーの無邪気な善意で舗装されているのかもしれません。
なぜ、「アタシは再教育を命じる側!」という前提で話せるのでしょうか。自分が再教育を強制される側に回るとは考えないのでしょうか。
自分の頭で考えよう!というちきりん氏の姿勢には賛同するけれど、その際に自分に「無知のヴェール」をかけて考えてみようとは思わないのでしょうか。
海外メディアに“ご注進”して問題を炎上させるなんて手法は下品ですが、今回のちきりん氏の主張、たとえば「Japanese influencer claims “Send Mori to re-education camp, like Chinese Communist Party do”」とか報道されたらドン引きされる発言だと思うんですよね。
自分とあわない人や気に食わない人、いやなヤツ、むかつくヤツともなんとかそこそこ折り合いをつけてやっていこうってのが民主主義社会だと思うんですよね。自分が排除されたら困るから、他者も排除しない。自分が再教育キャンプに送られたらイヤだから、他者も再教育キャンプに送らない。
「お前の言うことには大反対だが、お前がそれを言う権利は死んでも守る」ってのが民主主義の精神だと思うんです。たとえタテマエだとしても、大事なタテマエだと思います。
いろいろぶつかることばかりだけど、なんとかうまくやっていこうぜってのが、民主主義社会だと思うんで、今回のちきりん氏の発言はそれに真っ向から反していると思ったので批判しました。