「グローバリストはそのうち絶滅種になるかもしれない」とブルームバーグ(2020年3月16日配信)。
グローバリズムがよって立つリカードの「比較優位」「自由貿易」の話は、完全雇用を前提とし、各国の発展度のちがいや政治的要素を勘定に入れていない(物理の問題の〈ただし摩擦係数は0とする〉みたいなものだ)。
だが現実には、アメリカで使われる医薬品の多くの部分は中国やインドの生産能力に負っているし、新型コロナ禍のような事態では、自由貿易の効率性は国家や社会の脆弱性と引き換えになっていることがあらわになった。
実際、今回のコロナ禍では、国家の力というのを再確認した者も多いと思う。
多国籍企業が持つパワーがいかに大きいとはいえ、全国の学校を一斉に休校にしたり、1000万都市を封鎖したり、海外との人の往来を制限したりする権限はない。
いまの勢いなら、国際的な医療安全に貢献するという名目で、いつの間にか鎮火したパナマ文書問題・タックスヘイブン問題にカタをつけたり、トービン税みたいなアイディアを持ち出して、課税を回避する多国籍企業に薄く広く課税することも国際世論的には可能かもしれない。
新型コロナ禍により国家主義者が息を吹き返すのかも。
グローバリズムがシュリンクして国家主義が元気づくとして、それが多くの人の幸せにつながる結果なら歓迎すべきかもしれない。
もちろん、グローバリストは冷酷で、国家主義者は凶暴だ。だがしかし、イデオロギーによって結果のよしあしが変わるわけではない。