男前で有名なKさんが語ってくれた話。

「女の子にね、『お前の付き合ってる男はサイテーだから俺と付き合え』って言って付き合ってもらえるか?
肘鉄くらって、『確かにわたしの付き合ってる男は上等ではないかもしれないけど、わたしの勝手じゃない。そんなことあんたに言われる筋合いじゃないわよ』って振られるのがオチだよな」。
あるとき、男前で大変有名なKさんが言った。
あいかわらずの迫力である。

 

「だからさ、ほんとに女の子にふりむいて欲しかったら、そうじゃなくて『俺と付き合えばこんな未来がある。俺はあなたとこんな明るい未来をつくりたいんだ。だから付き合ってくれ』と口説かなきゃならない。
それなのに、『お前が付き合っている男はサイテーだ、俺にしろ』ってばっかり言う奴が多いんだよな、選挙でも」
?。選挙ですか?
僕が聞き返す。

 

「なんだよ、まだわからねえのかよ。しようがねえなあ。
ほらあれだよ、『○○党はこんなにダメだ、だから我が××党へ投票してください』ってやる奴多いだろう。
そうじゃなくて、『わが××党は、国民のみなさんとの未来をこんなふうに考えている。だから我が××党へ投票してください』ってやらなきゃダメだってことだよ。な?」
Kさんはそういうとカフェラテを一口飲んで、うまそうに煙草をくゆらせた。
Kさんもまた、旅立ってしまった。