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3分診療でどこまでできるか2『悪魔の言葉、白くて丸い薬』

3分診療のままでよいとは思わない。だが嘆くだけでは状況は改善しない。

もし病院の外来で医者に精神的にダメージを与えたかったら一言こう言えばよい。

「よくわからないけど、白くて丸い薬を飲んでます」。

ひきつった笑顔の裏側で、確実に医者の心は折れる。

仮の診断がついて、さて薬を処方しようとなったときに、真面目な医者ほど薬の飲み合わせを考える。ある種の抗生物質ニューキノロン系)と痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛剤)を一緒に飲むとけいれんの副作用が出たりする。それぞれ単独では出ない副作用が、飲み合わせによって副作用リスクが高まるからだ。
薬の副作用を極力避けるために、前もっての情報収集は欠かせない。

だから医者は、診察のはじめや薬の処方をするときに「何かほかにお薬飲んでますか?」と確認するのだ。
そんなときに一撃必殺のキラーワードが「よくわからないけど、白くて丸い薬を飲んでます」である。
白くて丸い薬は無数にある。そんなあやふやな情報に基づいて、大事な患者さんを危険にさらすわけにはいかない、しかし診察・検査の結果病気の可能性があるならば、なにか治療の手を打ちたい、そんなジレンマのはざまで医者の心はポキリと折れるのだ。
一方でそんなことはよくあることなので、可及的速やかに精神を立て直すわけであるが。

医者の心が折れるのは医者自身の問題だが、大事なのはあやふやな情報に基づいてリスクのあるかもしれない薬が処方されてしまったり、ほんとはベストの処方がよいタイミングでなされたかもしれないのに「薬の飲み合わせがわからないから、少し様子見ましょう」となってせっかくの受診機会を最大限活用できないことだ。
病院受診では、わからないことや不満なこともたくさんある。だが前もって準備することで、避けられる事態もまたたくさんあるのだ。


だからどうかお願いです。病院を受診するときは必ずお薬手帳か薬そのものをなにとぞご持参ください。

 

3分診療時代の長生きできる受診のコツ45

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