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「ふるさと納税」は反・民主主義かもしれないという話

ふるさと納税」の納税額が急増しているとのニュースをテレビでみて、「ふるさと納税」と「クールビズ」は同じ構造だと気付いた。大義名分と実利がセットだと制度は普及・定着しやすいということだ。
大義名分だけでもダメ、実利だけでもダメ。

クールビズ」は、「地球温暖化対策」という大義名分と「とにかく楽」という実利がセットだし、「ふるさと納税」は「ふるさと振興」という大義名分と「お礼」という実利がセット。

あと大事なのは「自分が関係することで状況が変わる感」。「クールビズ」も「薄着をして冷房設定を緩めることで地球温暖化が遅れる感じ」があるし、「ふるさと納税」も自分が指定する自治体に納税することでなんとなく役立ってる感じがする。

実は、「ふるさと納税」制度には引っかかる点は3つある。

ふるさと納税」制度では、本来居住地に納税されるはずのお金がほかの自治体に行ってしまうことで居住地の税収が減り、そのぶん住民サービスが低下するor「ふるさと納税」してない住民がその分を補てんすることになること。「ふるさと納税」していない納税者が割を喰うわけです。

 

また、「ふるさと納税」の「お礼」が高額になることで、実質税金逃れ的にも運用できてしまうことなどの問題点は以前より指摘されている。

たとえば仮に、「お礼」を商品券にして、ふるさと納税」の95パーセントの「お礼」を返すような制度にすると合法的な節税ががっつりできちゃいますね。


地味だけど大事なのは、「ふるさと納税」と間接民主主義の相性がいいのかどうかというところ。

どういうことかというと、

 ①間接民主主義では、有権者は納税額に関わらず一人一票の発言権を持ち、その発言権を代表(代議士とか)に預ける。リタイアして所得税払ってなくても一人一票、経営者で高額納税していても一人一票。

 ②預かった発言権を根拠に、代議士などはみんなで税金の使い道(=予算)を相談し決める。実質的には予算案は大筋で役所が作ったものではあるが、しくみ上は代表が話し合って「こういうふうに予算を使おう」「この分野は手厚く予算配分しよう」と決めることになっている。

 ③ふるさと納税はそのプロセスをすっとばし、税金の使い道を納税者が直接決める。

 ④しかもその裁量は納税額が大きいほど大きい。出所は自分の税金ではあるが、たくさん「ふるさと納税」する人は、自治体・国の予算の一部をどこに割り振るか決める権限が多いことになる。

 ⑤民主主義では発言権・裁量は出したお金の額と比例しない。出したお金の額が多いほど発言権・裁量が大きいのは一人一票の民主主義・選挙じゃなくて一株一票の株主総会

 ⑥だから本当は「AKB総選挙」じゃなくて「AKB株主総会」が正しい。
という理屈です。最後のほうはふるさとが遠のいてますが。

ふるさとは 遠くにありて 思うもの
メイクアメリカ グレートアゲイン
解釈)偉大なる祖国アメリカのために、アフリカの小国にたった一人で赴任した年若い外交官の心情を詠んだ歌である。

参考サイト。先日、「俳句のあとにメイクアメリカグレートアゲインと付けるといい感じの短歌になる」という大発見がなされたそうです。

www.sakanouenosisyamo.xyz

 

さはさりながら(業界用語)しかし実際には、大義名分と実利、さらに「自分が関与することで状況が変わる感」がセットになったこの制度は、まだまだ広がっていくのだろう。そのうち「お礼」は「ふるさと納税」の何パーセントまでとがっちり決まっていくんだろうけども。納税者が直接税金の使い道を決める云々については、もともと寄付金控除という制度もあるしなあ。

 

そういうわけで、「ふるさと納税」は民主主義を考える上でも非常に興味深い。

アメリカなんかでは議員に有権者が意見するときには「As a tax payer、納税者として」なんて前置きをして話すそうでけれど、国民と有権者と納税者はイコールではないんですね。国民は未成年も含むし、有権者は納税していない人も含むわけで。

いずれにせよ、もし自分が新しくなにか制度を作るときには、大義名分と実利、さらに「自分が関与することで状況が変わる感」を意識して制度設計するといいようですね。

 

それにしても、和牛とお米、どっちがいいかなあ。

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