2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

科学と建設的批判精神について(再掲)

梶田昭著『医学の歴史』(講談社学術文庫 2003年)を読んでいて、はっとさせられる一節にであった。 明治時代政府の招聘により来日し、26年間東京大学で内科教授の一人として活躍したエルウィン・ベルツが行ったスピーチの内容である。 孫引きではあるが、…

ノーベル賞に思う。

今年のノーベル医学生理学賞に、大村智北里大学特別栄誉教授が選ばれたという。まずはめでたいことである。毎年ノーベル賞の時期になると思うのが、誰がえらいってノーベル賞という仕組みを作った人が一番えらいということだ。日本のニュースを見ていて物足…

救急車有料化を考える(再掲)

救急車の出動件数が増え続けていることを背景に、救急車有料化の議論が医療機関以外でも広まってきた。ごく一部の心ない市民がタクシー代わりに救急車を利用しているため、医療機関内では昔から救急車有料化すべきだという感情が多数派を占めるように思う。 …

救急電話相談リストについて

「救急車の適正利用」をどんなに呼びかけても、スローガンだけでは結果は出ない。夜間や休日に具合が悪くなって、救急車呼ぶほどではないけれどどうしようと迷う人はたぶんすごく多いと思う。そうしたときに電話で相談できる住民サービスがあるんだけれど、…

<死に止め>~新聞記者から聞いた話(再掲)

ベテランの新聞記者が言った。 「不謹慎なんだけれども、<死に止め>、という言葉が我々の業界にはあるんです。 聞いたことありますか?これは、おじいちゃんが亡くなったからこれを機に新聞とるのをやめる、ということなんですね。アメリカでも紙の新聞は…

救急隊から聞いてみた(再掲)

「ぼくが十数年前にこの仕事に就いた時と比べて、格段に仕事はやりにくくなってますね」。ゆれる救急車の中、前の席の救急隊員が言った。 急に具合が悪くなって集中治療が必要となった患者さんを大きな病院へ搬送した帰り道のことである。 こうした医療機関…

生産性向上の果て(再掲)

ずいぶん前から考えているテーマで今のところまだ答えが出ないものの一つが、「生産性の上がりすぎた世界で、ひとはどう働くのか」ということだ。 話を簡単にするために、人口100人の村を考えてみる。この村で、ひとりの人が1年間生きていくのに1の食糧…