業界別「決めフレーズ」考。

どの業界にも「決めフレーズ」というものがある。

「決めフレーズ」というのは今さっき考えた言葉だが、「これ以上ああだこうだ言っても変わらないし、ここらで話を切り上げてちゃっちゃとモノゴトを進めましょうや」というときに使うフレーズのことである。

 

たとえばイルカの絵のレプリカを売っている方々の「決めフレーズ」は「1日あたりで計算するとコーヒー一杯分で芸術があなたの部屋に!」というもので、よく考えてみるとイルカとコーヒーの間にはなんの関係もないのだがよくわからない説得力を持つ。


政治業界の一部で使われる「さはさりながら」というのもおそらく「決めフレーズ」の一種で、「それはそうだけれども」という意味の接続詞である。Aという事象から論理を超越させてBという結論に着地させるときに使う。たとえば「人の命は尊く、お金には換えられない」(A)「さはさりながら」(決めフレーズ)「国家財政を考えると医療費は抑制すべきなのです」(B)というふうに使う。「決めフレーズ」は論理を超越したものであるから、まったく真逆の結論を導くことも出来る。たとえば、「国家財政を考えると医療費は抑制すべきなのです」(B)「さはさりながら」「人の命は尊く、お金には換えられません」(A)。

 

以前に弁護士の方からこんな話を聞いた。
「この仕事をしてるとね、〝天罰〟ってあると思いますよ。
詳しくは言えないけど、ある事件で相手方がとんでもなくヒドくてね。依頼主もホントは相手を許せないんだけど、でも仕方ないから泣く泣く示談にしたんだけど、相手がたは示談後半年くらいしたら突然病気で死んじゃってね。ぼくは天罰ってあると思うなあ」
よくよく考えると、天罰システムがあるくらいなら人の世に法は要らない。あとから思うにあれもまた、納得しないクライアントをしぶしぶ納得させて前に進むための「決めフレーズ」だったのだろうと、数年経った今朝気づいた。

 

もちろんぼくが働く医療業界にも「決めフレーズ」がある。

業界全体で正式に取り決めたわけではなく、個々の医者が経験とテツガクに応じて編み出していく。
医療業界の「決めフレーズ」についてぜひ細かくお伝えしたいが、残念ながら時間も尽きた。一度当院へおいでいただければ、詳しくご説明いたします。

 

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