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3分診療でどこまでできるか8『不安の中心を見極めておく~セルフ診断』

3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。

今回の話は医者の中で意見が分かれると思われる。
受診の前に、患者さん自身が前もって病気のことを調べておき、こんな病気かもしれないとあたりをつけておくのだ。仮に「セルフ診断」と呼ぶ。
医者の中には「勝手に自分で病名を決めて病院にかかられると話がややこしくなる」と「セルフ診断」を嫌う人がいると思う。
しかし、前もって、こんな病気ではないかと心配という「セルフ診断」をしてから受診してもらうと、医者としても助かることがある。

 

専門とする神経内科の分野には難病も多く、病名告知をするのは昔から気が重い。しかしぼくが医者になったのは1999年ころと比べると、ある意味でずいぶんやりやすくなったのも事実だ。
インターネットの普及のおかげで、患者さん側の情報や知識が爆発的に増大したからである。

医者になりたてのころは「病名は○○病で、根本的な治療はなくて…」などと話をすると、患者さんはみな「はじめて聞く病名です。治らないんですか」とびっくりした顔をされていた。

それがネットの普及とともに、「そうですか、やっぱり。実は自分で調べてそうじゃないかと思っていたんです」とお答えになる方が大半になってきたのだ。

単に医者側の説明が楽になるから「セルフ診断」を勧めているわけではない。
どんな病気が心配か、不安の中心を見極めてから病院にかかると、ある程度そこを重点的に調べることができる。医学的には可能性が少なくても、患者さんがより納得いく形で診察・検査を進めていけるので、「素人考えですが」と遠慮せず、「こんな病気が心配です」とバンバン言っていただけるとよい。遠慮してどんな病気が心配なのか言わないままだと、不安が解消されないまま病院をあとにすることになってしまう。
不安が解消されないままだと結局別の病院に後日かかることになったりするので、「セルフ診断」をして受診してみてはいかがだろうか。

一点指摘しておきたいのは、「セルフ診断」したからといってそれにこだわりすぎるのはよくないということである。「おれがこう診断したんだから、なにがあっても診断は変えないぞ」という医者がいたら困るのと同じである。病院で診察・検査を受ける前の「セルフ診断」はあくまで仮のもの・可能性の一部なので、診察・検査を踏まえた医者の説明が納得のいくものだったら「セルフ診断」はひっこめていただければ幸いである。