3分診療でどこまでできるか11『病名を確認しておく』

3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。

症状が安定してどこかの病院に定期通院している方とお話しすると少々びっくりする事態に遭遇することがある。
「○○病院にずっとかかっていて、お薬も何種類か出ています。たしか『なんとか症候群』とかって言われてたけど、なんだったかしら」
なんとか症候群の、なんとかの部分が知りたいのです。


もちろん、かかりつけの医者のほうはその方がなに症候群なのかきっちり把握しているはずだ。健康保険制度の仕組み上、病名がつかないと薬も出せないし検査もできない。
なんとか症候群の治療のためにこの薬を出します、なんとか症候群の疑いがあるので子の検査で確認します、だから健康保険で診療費の7~9割をカバーしてください、というのが健康保険の仕組みなのだ。やたらめったら薬を出せたり検査ができるわけではない。


かかりつけの医者のほうが病名を把握しているのに患者さんに伝わっていないのにはいくつか理由が考えられる。

一つは医者のほうが明確に伝えてない可能性。医者は毎日病気のことばかり考えて仕事をしているので、なんとなく病名を明確に言わなくても患者さんにわかってもらえてると思っているかもしれない。ある程度重い病名になると、何度も口に出して患者さんに言うのもダメ押しみたいな感じではばかられる。

もう一つは、医者のほうではいったん病名を告げていても、患者さんが忘れてしまう可能性。自分になじみのない分野の話だと、どうしても記憶に残りにくい。
深夜の高速道路で車が壊れたときにJAFの人に来てもらったことがあるが、きっちり状態を説明してもらったにもかかわらず、ぼくはビタ一文理解できなかったし、一言も頭に残らなかった。JAFの人は一生懸命丁寧に説明してくれたのだが。
医者が思っている以上に、ふつうの人にとって病気は異世界のことなので、一度や二度病名を伝えても忘れてしまうのだ。

 

病院にかかって、なんでもないと言われたときは別だが、薬が処方されたり検査の結果が出たりしたときは、念のためご自身の病名を確認しておくべきだと思う。
すぐに診断がつかないことはざらにあるし、「今のところは病気という状況ではありません」なんてこともたくさんある。しかし今さら感があったとしても、きちんとご自身の病名を確認しておくことは大事で、あとでほかの病院にかかるときも大変役立つし、夜中に不安になってもネットでざっと調べることもできる。

定期的に通院しているかた、ご自身の病名をきちんと把握してらっしゃいますか?