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医者が「いつになったらお迎えがくるんでしょうね」と聞かれたら(R)

患者さんから言われて困る言葉に「いつになったらお迎えがくるんでしょうね」というものがある。
「そんなこと言わないで頑張ってくださいよ」と励ますべきなのかもしれないが、
例えば80台も後半の老女で、夫は数十年前に他界し子供もなく、今までひとりで気丈にやってきて、その上軽いとは言えない病気と十数年つきあっている人にそんなことを言われたりする。

 

幸せ不幸せは本人が決めることとは言え、そんな状況の人に「頑張ってください」の言葉はノー天気で無責任で、もしかしたら残酷なのではないかという気もする。

そうした戸惑いや躊躇をいくつか乗り越えて、いつのころからか「いつになったらお迎えがくるんでしょうね」の言葉にこう答えるようになった。
「ぼくは不信心者だからよくわからないけれど、寿命は雲の上の神様か仏様か、誰かえらい人が決めてくれるから、ぼくたち人間はできることをぼちぼちやっていきましょうかね」。

正しい答えかどうかわからないし、拍子抜けした顔をされることもあるけれど、
心なしか肩の荷が下りたような顔をして帰っていく患者さんもぽつぽついる。

神ならぬ身のかかりつけ医としては、変えられぬことを受け入れる落ち着きも、変えることのできることを変える勇気も、そしてその二つの違いを見分ける知恵も処方してあげることは出来ないけれど、しんどい時には神様か仏様のせいにしてでも、少しばかり気楽になる方法くらいは伝えられるようになりたいものである。
(FB2013年3月10日を再掲)

 

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