ルクセンブルクの国民負担率95%のナゾ

長年のナゾがもしかしたら解けそうなのでご報告。
 長年のナゾというのは、国民負担率(所得のうち何%を税金と社会保険料のために払っているか)の海外比較の表で、2013年のデータで日本は41.5%の国民負担率なのに対し、ルクセンブルクはなんと95%というのは本当か、という話。
単純に考えて、100万円所得があって、95万円を税金と社会保険料でおさめて自由になるお金は5万円、ということで、そんなの成り立つのかってずーっと疑問に思っていたわけです。

ちなみに国民負担率の表はこちら(当時財務省HPに掲載されていたもの)。

 

執筆当時財務省サイトに掲載されていたもの

 


で、昨日詳しい人にそのことを質問してみたら、どうもこういうカラクリらしい。
JETROのユーロトレンド2008.10によれば、ルクセンブルクって国は労働人口は31万人あまり。で、そのうちなんと約43%の13万人は隣国のフランス、ドイツ、ベルギーから毎日毎日通勤してくる人なんだそうです。こういう国境をまたいで毎日通勤してくる労働者を「コミューター」というんだとか。

https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/05001614/05001614_001_BUP_0.pdf


で、このコミューターの人たちの経済活動もルクセンブルクのGDPを高めるのに貢献している反面、コミューターの人たち向けの社会保障などもルクセンブルクはかなり負担しているそうなんですね。
国民負担率は、税金と社会保障費を分子とし、国民所得を分母とする計算なので、コミューター向けの社会保障費やコミューターが納める税金が加わる分、国民負担率の分子の部分が相当高めにでるんじゃないか、というお話でした。

島国日本で生まれ育ったために、そういう毎日隣国から仕事に来て夜には自分の国に帰るというタイプの「外国人労働者」がいるというのは全く盲点でした。しかも全労働人口の約43%がそういう人ってのは想定外でした。

この話、確認しなくてはならないのは、
①国民所得の定義に何を使っているか。もしルクセンブルクのGDPを単純に国民数で割っているのなら、コミューターがかさ上げした分もGDPにカウントされているので話が変わってくる。
②国民負担率の税金と社会保障費の定義は。

分母である所得にはコミューター分が加算されておらず、分子である税金と社会保障費のところにはコミューター分が加算されている場合、国民負担率95%というのは見せかけの数字になる.
③そもそもヨーロッパでは所得税や社会保障費はどうやって徴収されるのか。経済活動している国なのか居住国なのか。
などなど。

 

お詳しいかた、教えてくださいませ。

↓というわけで、ルクセンブルクの政府の人に聞いてみました。

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