2017年2月27日、日本中に衝撃が走った。数多くのメディアが一斉に新たな事実を伝えた。「しらたきがすき焼きの肉を硬くする」というのはフェイク・ニュースだったというのだ。
複数メディアによれば、日本こんにゃく協会の実験では、しらたきがすき焼きの肉を硬くするという研究結果は得られなかったという。
しらたきと国産牛肉、アメリカ産牛肉とともに割り下の中で加熱したものをモニター5名に比較してもらったところ、いずれもしらたきと牛肉の硬さとの間に関係ないことが証明されたとのことだ。長年のしらたきへの誤解と偏見が解けた形になる。
しらたきの無実が証明されたのは喜ばしい。しかしながら気になるのはその実証方法である。ニュースを読む限りでは単純に、しらたきと牛肉を割り下の中で加熱して硬いかどうかを判定したに過ぎないようだ。
本来ならばこうした研究は比較対照の実験を行わなければならない。
「しらたきと一緒に加熱した牛肉」と「しらたき抜きで加熱した牛肉」を前情報なしで咀嚼してもらい、その硬さを比較することではじめてしらたきの無実が証明される。
さらに言うなれば、モニターが利害関係者ではいけない。しらたきの潔白さを証明したいと切に願う人物ー日本こんにゃく協会のメンバーなどーが万が一にもモニター陣の中にいてはならない。利害関係のある人がモニターをすると評価の目が濁るからだ。
一切の利害関係なく国産牛肉の硬さを評価できる人物、しかも一回だけではなく最低でも十数回、何度も何度もくり返し十分な量の「割り下の中で加熱した国産牛肉」の硬さを評価できる人物こそをモニターとして招聘しなければならない。
そうした人物はなかなかいないだろうから、言いだしっぺでもあることだし、ぼくがそのモニターになるのもやぶさかではない。