残りの5kmが一番キツい

三浦半島を24時間以内に歩いて一周するという行事に参加したことがある。コースは全長100kmに設定されている。
茅ヶ崎をスタートして、テクテクと歩き続けて東京湾側に抜ける。夕暮れ時には東京湾の向こうに房総半島を眺めつつ歩を進めてゆく。
横須賀について横須賀ではどこもビルが大きいなあなどと思いながら、夜中に三浦海岸駅を通りすぎ、三崎口あたりのアップダウンに苦しみながら風車が風を切る音を聞く。
眠気とダルさと闘いながら夜明けには葉山だ。
逗子を抜け由比ヶ浜を通り稲村ヶ崎を過ぎれば江ノ島が見えてくる。オレの家も近いという気分になってくる。
ゴールまであともうすぐ、このペースだと楽勝で間に合うなと思って江ノ島を過ぎたあたりから、地獄が始まる。歩いても歩いても、ゴールにつかないのだ。
次のカドを曲がればゴールなはず、そう思ってカドに着くと、まだまだゴールは先だ。
同じ光景、同じ曲がりカドが、何度も何度も出てくる。
100kmを歩く旅は、残りの5kmが一番キツい。

コロナ禍の中、毎日まいにち新規感染者の記録が更新されてゆく。いつまでこんな生活が続くのか。ゴールの見えない日々。

100kmを歩き切るには自分自身の足で、一歩いっぽ歩いていくしかない。
毎時5kmのスピードでコンスタントに淡々と、1時間に5分程度の休憩を入れながら歩くと、24時間以内に100kmを歩き通すことが出来る。
歩幅を約70cmとして約14万歩歩くとゴールに着く。
ほかの誰も歩いてくれないし、残り5kmでしびれを切らしてギブアップすれば、全ては台無しだ。

同じ光景同じ曲がりカドばかり続くように見えても、一歩進めば一歩ぶんゴールに近づく。

遅々として進まないように焦るワクチン接種も、今4000万人近くの人が2回接種を終えた。また今日も35万人くらいが2回目の接種を終える。ゴールは近づく。

残りの5kmが一番キツい。
だが確実に、今日もゴールに近づくはずなので、ともにがんばりましょう!