新たな都知事が決まるまであと数日。テレビや新聞では連日、各候補の活動ぶりが報じられている。
そんな様子を眺めながらふと思った。
「桃太郎の後始末は誰かしているのだろうか」と。
選挙のときに候補者がアピールする方法の一つとして、商店街や人通りの多いところを候補者とスタッフが練り歩くというのがある。候補者がお供を連れて歩いているように見えるので、『桃太郎』と呼ばれたりする。選挙カーで名前を連呼して走り去るよりも近い距離でじっくりと、候補者と彼や彼女を支えている人たちの人となりを伝えることができる。
『桃太郎』では、候補者の人となりが伝わってしまうのだ。
<「私は候補者の三〇メートルくらい後を歩くんです」
(全国の候補者選挙サポートをしている)小沢(一郎)秘書の一人は、この“桃太郎”に同行するさいに、なぜか離れてついていくという。
「(候補者を応援している)地方議員らバッジをつけている人は、人が大勢いるところを歩きたがる。でも、それは候補者のためじゃなくて、自分のため。しかたないからやるけど、商店街ってね、選挙で来られると、お店の人たちは迷惑しているんですよ。候補者とは笑顔で話していたとしても、通りすぎると、『まったく邪魔だよ』とか『うるさいなあ。何も買わないのに』って、みんな怒っているのがわかる。そんなとき、私があとから、『すみませんね』『よろしくお願いします』といって歩くんです。握手しながらね」>(野地秩嘉・小塚かおる『小沢選挙に学ぶ人を動かす力』かんき出版 2009年 p.173。 ( )内は筆者による)
候補者は『桃太郎』で有権者に想いを伝えることに一生懸命になりがちだ。だが選挙活動では、『桃太郎』の後始末まで目配り・気配りができるかどうかまで見られてしまうのである。
あの人はそこらへん、どうなんでしょうね。