ロシアの次なる狙いとは―唯物論的権力闘争の法則(R)

ユーロ圏離脱をちらつかせるギリシャをロシアが狙っているという。
アジアとヨーロッパをつなぐギリシャは、戦略的重要ポイントなのだ。

しかしプーチンが狙う戦略的重要ポイントはギリシャ以外にももう一つある。
頭頂である。

 

周知のごとく、ロシアウォッチの超基本に「ツルフサ唯物論的権力闘争の法則」がある。
「ハゲフサの法則」とも呼ばれるこの法則は、ロシア語ではЛысый — волосатыйという。日本には片山まさゆきの著作『ウォッカ・タイム』により伝えられた。

ソ連・ロシアでは、権力の頂点は常にツル=毛髪の少ない者とフサ=毛髪の多い者の間で争われてきた。
実際の例を見てみよう。

レーニン(ツル)→スターリン(フサ)→ベリヤ(ツル)→マレンコフ(フサ)→フルシチョフ(ツル)→ブレジネフ(フサ)→アンドロポフ(ツル)→チェルネンコ(フサ)→ゴルバチョフ(ツル)。
ソ連崩壊後もこの法則は続く。
エリツィン(フサ)→プーチン(ツル)→メドベージェフ(フサ)→再びプーチン(ツル)。
まさに、頭頂を制する者がロシアを制するのだ。

さて、現在権力の頂点にいるプーチンが恐れるのは何か。
フサの台頭である。
歴史的に、ツルの権力者はバッドエンドだ。
ライバルによって失脚させられるのだ。

邪魔者は消す、または取り込んでしまうのがプーチンの手法だ。
さすが諜報機関出身である。

キング・オブ・フサ、ソウルの帝王ジェームズ・ブラウンはすでにこの世を去った(プーチンの野心との関連は不明のままだ)。
フサの有名人であるドナルド・マクドナルドは何者かの手によって業績不振におとしいれられた。

しかし予想以上にフサ勢力の抵抗が強いのを知り、プーチンは顔色一つ変えずに部下に命じたという。
「抜いてしまえ」。
この世からフサが消えれば世界中プーチンサイドの人間ばかりになる。
ツルの千年王国が誕生し、プーチンはライバルにおびえることなく権力の座にとどまり続けることが出来るわけだ。

プーチンにとって、国境は問題にならない。
クリミア半島を見ればわかる通り、彼にとって他国に「飛び地」をつくるのは造作もないことなのだ。

皆が気づかぬうちに、各国でロシアによる頭頂部侵略は進行中であり、日本の実業界のトップにまでその魔の手は及んでいるという。
IT業界の雄であるS氏は以前、頭頂についての質問に、「生え際が後退しているのではない、私が前進しているのだ」と答えたが、あれすら何らかの勝利宣言だと見る情報関係者もいる。
前進前進また前進、というわけである。

筆者はいちはやくこの恐るべき事態に気づいた。
理屈ではなく、我が身にせまる危機として肌感覚で事態の進行に気づいたのであるが、その情報の入手方法については決して述べられない。
情報源の絶対的な秘匿は、インテリジェンスの非情な掟なのだ。
(FB2015年7月7日を再掲)

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