大丈夫か、週刊現代。下手したら大きな被害が出る。
迷走を続ける週刊現代の『医者の薬飲むな』キャンペーンだが、そろそろヤバいレベルに入ってしまったようだ。
9月3日号では、喘息の治療でステロイドを使うなという記事を出している(p.186-188)。
その中で、<薬を使わず、7万人もの喘息患者を治療してきた実績を持つ>(p.187)という触れ込みで、K『筋系帯療法治療センター院長』(原文ではKは実名)なる人K氏がこんなコメントを寄せている。
<「喘息に関しては、実は身体の歪みや筋肉の緊張が原因になっていることが多いのです。だから身体のバランスを整えることで改善が見られる患者さんも多い。(略)」>(p.187-188)
この部分を読んだときには「喘息が身体の歪みや筋肉の緊張が原因だって?ずいぶん奇妙なことを言う医者もいるものだ。どんなおかしな仮説を唱えるのも自由だけど、ならばきちんと立証しないと医者とは言えないよなあ」ぐらいの感想であった。
科学は仮説と検証によって進歩してきた。「教科書に書いてないから間違い」という態度をとるつもりはない。しかし科学マインドを持った者が自説を唱えるときには、「仮説だが」と保留条件をつけるか、他者が納得する証明をしなければならない。
がんもどき理論の近藤誠氏が誰にも相手にされないのは、自分の意見を声高に唱えるばかりで自説の検証・証明をしようとする気配が全くないからである。
<医学の父として知られるヒポクラテスは、こう述べた。
科学と意見という、二つのものがある。
前者は知識を生み、後者は無知を生む。>(サイモン・シン&エツァート・エルンスト『代替医療のトリック』新潮社 2010年 p.10。名著です)
話を元に戻す。
この『筋系帯療法治療センター院長』なるK氏がどんな顔をしている医者なのかと思い、検索してみた。皆様も是非検索をお勧めする。
にこやかな顔のK氏の写真の下に踊るのは「整体師/あん摩マッサージ指圧師」の文字。
医者と整体師がどちらが偉いとか、整体師だから喘息について語るなとかいう話をしたいのではない。
しかし医療批判記事の中で喘息治療について『院長』の肩書でコメントを寄せていたら、K氏が喘息の専門の医者(呼吸器内科という分野です)だと読者が思うのが普通だ。週刊現代は「どこにも医者なんて書いていない」と強弁するのだろうが。
この現代の記事を鵜呑みにして、自己判断で急にステロイドを中断するのだけは絶対にやめたほうがよい。命にかかわる危険行為である。
どうしても週刊現代の記事を信じたければ、「喘息にステロイド使うな」記事の根拠となっている「筋系帯療法治療センター院長」が何者なのかググってからでも遅くはない。
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