歳を取ると時間の経つのが早く感じるわけ(R)

加齢時速、というらしい。
歳を取るほど時間が経つのを早く感じる現象のことで、時の経つ早さの体感時速は自分の年齢と同じだという。
つまり時の経つ体感速度は20歳のひとにとっては時速20km。
40歳のひとは時速40kmで、60歳のひとは時速60kmのはやさで時が経っていくのだとか。
いろいろ調べてみると脚本家の内舘牧子氏が言い出したことのようだが、非常によくわかる感じがする。

 

先日我が子らに「ちょっと前までは赤ちゃんだったのにね」と話しかけた時のこと。
息子は心底不思議そうな顔をして、「ちょっと前じゃないよ、赤ちゃんだったのはすごい昔でしょ」と言う。
体感時速41kmで時が経つぼくにとっては数年前はちょっと前だが、息子にとっては赤ちゃん時代から今までは全生涯である。
確かに彼にとっては数年前もすごい昔なのだ。
息子との加齢時速の差をまざまざと感じた一幕であった。

その逆のパターンもある。
高齢の患者さんに、「久しぶりに血液検査をしましょうか」なんて話した時だ。
結構な確率で返ってくる言葉が「血液検査はこの間やったばかりだからまだいいよ」である。
記録を振り返ると前回の血液検査はきっちり半年前で、「この間」というにはずいぶん前だ。
今までぼくは、血液検査で痛い思いをしたくないがために無意識のうちに「この間やったばかりだからまだいいよ」という言葉が発せられるのかと思っていたがそうではない。
加齢時速41kmのぼくにとっての半年間と、加齢時速80kmの患者さんにとっての半年間の体感速度が倍違うせいで、半年間イコールこの間、ということになるわけだったのだ。

20代、30代と加齢時速は上がっていった。
40代の今、さらに加齢時速が上がりつつある。
このままいくと加齢とともにどんどこどんどこ時の早さの体感速度が上がっていき、ついには意識すら追い付けなくなってそこで「アガリ」になるかと思うと、人間の一生というものは人の夢のごとく儚いものである。

(FB2015年3月23日を再掲)

 

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