電車に乗っていたら、全身を金色に塗りたくった男が乗り込んできてびっくり。暗黒舞踏か麿赤児か大駱駝艦かと適切なワードを脳内で探すが、なんのことはないただのハロウィンであった。
十年くらい前はハロウィンは日本に定着しないなんて言われていたように思うが、ここ数年、一気に市民権を得たように思う。それまでは広告代理店かなにかが無理やりに流行らせようとしている感があったが、こんなに急速にメジャー化したのを見ると、次の展開が気になってくる。
先行事例を見るとまず予想されるのがハロウィンのクリスマス化である。
イエス・キリストの誕生日をおごそかに祝うはずの行事が商業化されいつの間にか恋人たちのものとなった。
12月24日のクリスマス・イブの1か月以上前から街はクリスマス一色になる。
そのほうがモノが売れる、上品に言えば経済が活性化するというのが理由なんだろうけれど、ハロウィンも同様の経過をたどるのではないか。
数年以内にはさらなるハロウィン勢力の拡大に伴い、9月末頃になると街はカボチャだらけとなるだろう。ハロウィンは恋人たちのものとなり、カップルは思い思いに仮装してハロウィンの夜をともに楽しむ。いったいどんなプレイなんだ。
経済評論家によればハロウィンの経済効果は1100億円に上り、すでにバレンタインデーの1080億円を越えたという(日刊ゲンダイweb版10月3日)。
そうなってくると国のほうも黙ってはいられない。
ハロウィンのクリスマス化に伴い9月から10月までを「仮装ビズ」と定め、すべての官公庁職員はこの期間ハロウィンの仮装をすることとなるだろう。地方自治体も負けてはおらず、都知事自らネズミ男のコスプレで公務をこなす。関連業界は当然追随することになり、この期間日本はハロウィンの仮装で出勤・通学することとなる。
うっかりふつうのスーツで街を歩こうものなら、「お、サラリーマンのコスプレ?渋いねえ」と感心されてしまうかもしれない。
政府は経済成長戦略の第42次「新三本の矢」の一つに「ハロウィンイベントによる経済の活性化およびコスプレによる日本人のイノベーションマインドの刺激」を掲げ、「一億総コスプレ室」(愛称・一億室)を設置することになる。
「一億総コスプレ室」には経済産業省と文部科学省、観光庁から出向の官僚がつどい、さらには勢い余って農林水産省とのコラボで生きているジャック・オー・ランタンを開発したりすることになるはずだ。
数年後にはさらにハロウィンは拡大するはずで、そうなれば「一億総コスプレ室」は分室レベルから一挙に省に格上げされることになる。
省ともなれば日本を挙げての一大勢力なわけで、「一億総コスプレ室」は改称され「日本仮装大省」と呼ばれることになる。当然のことながら、初代の大臣は萩本欽一氏に内定しているという。
がんばったんだけどねえ。